中空知を往く(その4)
赤平のズリ山階段をゆげ氏と二人でひたすら登ります。
「40km以上自転車を漕いで、なんで更にこんな疲れることをしなければならないんだ」
と、ゆげ氏の目が訴えていたような気がしたが、多分気のせいであろう。
本当は自転車も連れて行きたかったが、
さすがに10kg以上の自転車を抱えて777段の階段を登るのは無理があるので、ふもとに置いていった。
階段は一段ずつ数字がふってあって、今何段目かわかるようになっている。
ハーハー、ゼイゼイ。ここでやっと全体の3/7。
「これって、自転車で坂道上ってる方がラクだよな」とゆげ氏と話しながら、あともうちょいでゴール。
写真はゆげ氏の哀愁漂う後姿。
やったー!ついに頂上だ!
頂上から赤平の町並みを眺める。
芦別方面を眺める。真ん中にある白い建造物は全長88mの巨大仏。
望遠鏡は無料です。これで芦別方面を見ると大仏の顔がはっきり見えた。
こういうところにありがちな鐘。存在目的は不明。
さすがに我々は大人だったので、鐘を鳴らすことはしなかったが、
後からやってきた子供が、頂上についたとたんに大喜びで鐘を鳴らしていた。
山頂で休憩しながら、私の実家から持ってきた大福餅を食べた。
「んまいっ!」
やはり、サイクリングには和菓子がよく合う。
ズリ山も堪能したことだし、下りることにしよう。
うぉー、太ももがプルプル来るぜ。
下りは下りで意外としんどいのであった。
777段の階段を下りきったとき、我々は二人とも膝ががくがく笑っていた。
恐るべしは日本一のズリ山階段であった。
ズリ山階段からちょっと行ったところにある住友赤平炭鉱跡。
ちょっとした観光地化がされていて、イマイチ廃墟感を味わえないのが残念だ。
「ここが炭鉱跡ですよ」なんて標識があると、興ざめしてしまう。
こういうのは無理に保存しないで、自然のままに風化させる方が味があると思う。
引き続き、歌志内方面に向けて自転車を漕ぎます。
途中、かなりの坂があって、私が悪戦苦闘している中、
18段変速のゆげ号はスイスイと坂道を駆け上っていった。
こういうとき、やはり3段変速のブロンプトンは厳しい。
坂道を上りきるとそこはトンネルだった。
そして、トンネルを抜けると、そこは歌志内だった。
写真は悲別ロマン座。
昔映画館だったところで、「昨日、悲別で」というドラマで主人公がダンスを踊る舞台として登場した。
ここまで力強くやっていないことをアピールされると
「はあ、そうですか」と引き下がるしかない。
現在は閉鎖されていて、使用されていないようだ。
さて、ここで今回の行程で最大のアクシデントが起きた。
突然、後輪の方からボコボコするような感じがあった。
嫌な予感がする。
自転車から降りて、後輪を見てみると、
やはりパンクしていた。
これは困った。
こんな鳥も通わぬ陸の孤島に(歌志内市民の皆様、大変申し訳ありません)、自転車屋などあるわけがない。
ここは仕方がない。あきらめてチャリを畳んで、バスでとんずらこくことにしよう。
しかし、今回は私一人だけの旅ではない。
ゆげ氏というわざわざ東京からやってきた同行者がいるわけである。
さすがにゆげ氏の自転車は路線バスに乗せるのはキツそうだ。
ここでゆげ氏を捨てて、一人でバスで砂川に逃げるのは人間としてどうかと思うのであった。
そうだ、ここは逃げるべきではない。戦うのだ。
パンク、上等じゃないか。
このくらいの試練がある方が面白いというものだ。
というわけで、パンク修理にとりかかることにした。
幸いパンク修理キットと空気入れは持ってきている。
が、ほとんど使ったことはないので、若干不安がある。
パンク修理をするには、チューブのどこに穴が開いているかを確認する作業が必要だ。
そのためには水があった方がいい。
ということで、ゆげ氏を使い走りにして、水が出るところを探してもらうことにした。
ゆげ氏から「この先に公園あり」という報告があった。
早速公園に行って、水飲み場に向かうのだ!
しかし、水道からは水が出なかった!
Oh! My God!
公園の水道から水が出ないことに、歌志内市の厳しい財政状況が推測される。
歌志内の人も非常に大変だということはわかるのだが、
今は俺の方が大変な状況だ。
なんだよ、ケチ。水ぐらい出してくれたっていいじゃないか。
と思っていると、ゆげ氏が「コンビニがあるから水買って来ようか?」とありがたい提案をしてきた。
持つべきものは友だ。
ゆげ氏に10回ぐらい心の中でお礼を言いながら、水を待った。
ゆげ氏はセイコーマートでミネラルウォーターを買ってきた。
よし、これであとは洗面器に水を入れて、その中にパンクしたチューブを入れて、
そして空気を入れると、パンクしたところからゴボゴボ泡が出るという按配だ。
泡が出たところからパッチを貼って、パンク修理は終了だ。
もうパンク修理に向けて、障害になるものは何もない。
さあ、水を使おうぜ!
で、洗面器はどこ?
水を用意したはいいが、水を移す容器のことを全く考えていなかった二人なのであった。
果たしてパンクは直るのか?次回、最終回に続く。
(つづく)
by gossy54200 | 2010-05-08 23:32 | ブロンプトン