美唄 我路(その4)
さて、逃げるように我路を後にして、札幌へ戻ることにした。
ここからは、モロに向かい風を受けて辛かったですね。
気温はこの時期の北海道にしては30度以上と暑いし、太陽はカンカン照りだったし、
快適だった往路がウソのようですね。
暑さ&疲れに耐えられなくなり、さんぱち美唄店でメシ。
さんぱちの割には、妙に歴史があるっぽい建物に違和感あり。
中に入る。
おー、生き返る。
クーラーバンザイ!これが文明の利器の力か。
灼熱地獄の後の冷房が、五臓六腑にしみわたるぜ。
熱いラーメンは食う気分でなかったので、冷やし坦々麺セットを注文。
いただきます。
なんか、うまいかまずいかどうかもわからない。
疲れで味覚が壊れてしまったようだ。
坦々麺をひたすらたんたんと食した。
食後はアイス!アイス!さんぱちはこれがあるのがうれしいぜ!
アイスパワーで復活するかと思いきや、やっぱり暑さで調子はボロボロですね。
向かい風の強さに耐えられず、R12をまっすぐ行くのはあきらめ、
美唄から、北村→新篠津→当別と経由して帰る戦法をとったが、これが大失敗。
♪果てしない 大空と 広い大地の その中で
思わず松山千春の気分になって口ずさみたくなるような光景であったが、
「広い大地」=「風をさえぎるものがない」
ということで、更に向かい風をビュンビュン浴び、汗はだらだら流れて、足取りはどんどん重くなり、
いつの日か幸せを自分の腕でつかむどころではなかった。
セイコーマート北村店で補給。
口の中がスポーツドリンクで甘ったるくなって気持ち悪いので、ここはミネラルウォーターにした。
ミネラルウォーターを飲みながら、汗はやはりだらだら流れ、体から塩分が失われていくのを感じた。
いかん、まずいぞこれ。
暑い、モーローとしてきた。さんぱちで食ったラーメンをリバースしそうだ。
苦しいぞ、これは全力で苦しいぞ。
こんな苦しいときはどうすればよいか。
答えは簡単だ。
ガマンして前に進むだけだ。
(あれですね。スポーツドリンク飲まないときは、梅干とかで塩分補給しなきゃダメですね)
クロモリロードにしたら100kmから先がラクになるかなあと思ったのだけれど、
やっぱり走行距離が100kmを超えた辺りから、苦しくなってくる。
まだまだロードバイクとお友達になれる日は遠いようだ。
岩見沢大橋。これを越えたら新篠津村。
新篠津に入ってから、風向きが変わってちょっとラクになる。
根性で10kmぐらい自転車を走らせて、当別のローソンで補給。
チャリにカギをかけて、駐輪させます。
郊外にあるローソンって、店内にイスがあって、ゆっくりと飲食できるのがいいですね。
冷房の効いたローソンの中で、この日2本目のアイスを食べます。
うまー。
当別まで来たらあと30km。
まだまだ距離はあるが、ここからは何度も通った道なので、気分的にはかなり楽だ。
さあ、最後の力を振り絞って行こうぜ!
カギを外して、ロードバイクを走らせるのだ。
ん、・・・。
んん?・・・・・・。
カギがない!
そんなバカな。どーしてカギがないんだ。カギがないとどーするんだ。チャリはどうすればいいんだ。
・・・いや、落ち着け。落ち着くんだ。
きっと店内でカギを落としたに違いない。
落ち着いて、もう一度店に入って、カギを探すのだ。
やっぱりない!
店員に「自転車のカギの落し物なんてありませんでしたかぁ」と聞いたが
無常にも「ハイ、ありませんでしたぁ」との返答。
どうする?どうする、俺?
ここまで来たらしょうがない。
カギがない以上は、ここからJRを使って一旦家に帰って、その後車でチャリを回収することにしよう。
(スペアキーは自宅にある。また、今回は自走で全部行けるだろうと思って輪行袋は持ってきてない)
もうオレは限界なんだ。
これ以上チャリに乗ったら倒れるよという神のお告げなのだろう。
あとはJRに乗ってラクをすることにしよう。
ということで、ローソンからJR石狩当別駅まで、炎天下の中2kmぐらいの道のりを、
チャリの後輪を浮かせながら持ち上げて、SPD-SLシューズで歩くという修行を行った。
ある意味チャリに乗ってた方が楽だったんじゃないか?
(冷静に考えると、チャリは車で回収するわけだから、
駅に持っていく必然性はなかったんだよね。疲労は人の判断力を狂わせる)
情けなくチャリを押しながら歩いていると、知らない女子小学生3人組に
「こんにちは」と、元気よく声をかけられた。
逆ナンパか?
「あー、キミたち、ボクに惚れるのは勝手だけど、あと10年経ってからにしなさい」
などと勝手な感想を抱きつつ、彼女たちを観察していると、
今度は知らないおばはんに、また「こんにちは」と元気よくあいさつしていた。
当別の小学生の間では、知らない人にあいさつするのがはやっているらしい。
いや、別に悪いことではないのだが。
30分ぐらいペンギン歩きでトコトコ歩いて、石狩当別駅到着!よし、これで家に帰れる。
さて、ここで新たな問題が生じた。
それは俺の服装だ。
上から下まで、バリバリ自転車乗りスタイルだ。
ヘルメットやシューズやサイクルジャージはまだいい。
問題はピッチリレーパンだ。
これは恥ずかしい。死ぬほど恥ずかしいぞ。
全身タイツで列車に乗るような屈辱感が味わえそうだ。
こんなカッコで俺は列車に乗るのか?
とは言え、着替えは持ってきてないし、服を買うような時間もない。
ここは覚悟を決めて、何事もなかったかのように、平然と列車に乗ろうではないか。
どうせ平日の昼間の列車だ。そんなに客もいないだろう。
と、思ったが甘かった。
ちょうど高校生の下校時間と重なっていて、ホームで列車を待っていると、
わらわらわらわらと、一体どこから現れたんだというぐらい高校生がうじゃうじゃやってきた。
なんで、こんなに高校生がおるんや?お前らJRなんかに乗らんで、チャリで通え!チャリで。
JRに乗る。
JRは高校生で充満していた。
彼らは女性の前で下品なシモネタを大声でわめきちらしていた。
この世の中から高校生と言う人種を抹殺したいと思った。
あー、汗まみれのオレ、臭い。
すまん、オレのそばにいた人。
でも、高校生よりは迷惑をかけていないと思う。
客は誰もオレを見ようとはしていなかった。
注目を浴びるのももちろん嫌だが、
「何だ、あのキ○ガイみたいなカッコした奴は。こんな奴は無視だ!無視。目も合わせるな」
という空気が車両の中に充満しているようで、それはそれで辛かった(被害妄想)。
家の最寄り駅に着いた。
針のむしろに立っているような、ひたすら苦痛な時間がやっと終わった。
列車に乗るだけの行為が、これほど辛いと思ったのは初めてだ。
この経験を通じて、精神的にものすごく強くなった気がする。
きっと今度はメイド服を着て、列車に乗るぐらいのことは朝メシ前であろう。
・・・が、できれば、こんな経験をするぐらいなら弱いままでいた方がよかったと心底思うわけであった。
で、この後は家帰って、車に乗って当別駅まで行って、チャリ回収して、また家に帰ったわけですね。
(前輪外して、後部座席のシート倒せば、コンパクトハッチでもチャリを載せることはできます)
今回も最後はJRの力を借りて、思うようなサイクリングはできなかったのであった。
まだまだ、ロードバイクとの付き合い方を模索する日々は続く。
走行距離 123km 平均速度 21.8km/h
(このシリーズ終わり)
by gossy54200 | 2010-09-04 20:29 | ロード