とにかく限界に挑戦してみる(その6 塩狩駅&塩狩峠記念館)

いい加減めんどくさくなったので、前回分だけリンク貼っておきます。

とりあえず男は黙って、塩狩駅に行くことにしましょう。
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塩狩峠です。
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小説のモデルになった長野さん殉職の碑です。
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「神は愛なり」などと普段言われても、「ケッ!何が愛だ」と思ってしまうのだが、
実際にこの地で、愛のために自ら犠牲になった長野さんのことを思うと、何かグッと感じるものがある。
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やっぱりね、こういうものは本を読むだけではなく、
実際の現場に行って、この目で見ることによって、より小説の中の世界は広がっていきますね。
きっと小説の設定と同じ冬に行くと、もっとグググッと来るものがあるのでしょうね。

塩狩駅ホームです。
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数時間に一本しか列車が停まらないローカル線なのであるが、たまたまこのときは列車がやってきた。
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列車の乗客は、もの珍しそうに私をジロジロ見ていた。
なんだよ、そんなに無人駅で自転車に乗った、エイリアンヘルメットをかぶっている人間が珍しいのかよ!

・・・・・・・・・そりゃあ、珍しいわな。
注目も集めるわ。
でも、皆の衆、別にわしは悪いことをやっているわけではないので、ジロジロ見ないでくれと言いたい。

塩狩駅駅舎です。
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持ってきた文庫本と塩狩駅と自転車。
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熊が出るらしいです。
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駅名標。
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駅の中です。
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駅ノートです。
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日本全国からいろいろな書き込みがありましたね。
ただ、この駅に関しては、単なる駅マニアというよりは、
三浦綾子の小説に影響されてやってきたという、私のような人が多かった。

塩狩峠記念館です。
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三浦綾子の旧宅を復元したものです。
レトロ看板は執筆業の傍ら、文具・雑貨店を営んでいたころの名残です。

聖書の中のお言葉。反射して、私の姿も写っている。
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「一粒の麦、地に落ちて死なずば、唯一つにて在らん、もし死なば、多くの果を結ぶべし」
正に長野さんは、死んだことによって、次の世代に数多くのものを残していったのである。
無味乾燥な聖書の言葉も、物語の中で息を吹き込まれると、生き生きとして心の中に迫ってきますね。

ちょっと厳かで感傷的な気持ちになりながら、中に入ります。

受付におばちゃんがひとりいました。
入館料200円を払うと、おばちゃんに
「あら、自転車で来たのですか。どこから来たんですか?」
と、問われ
「札幌です」
と答えると
「いや、最初の出発点はどこですか?」
と再び聞かれてしまった。
どうも、こういうところをサイクリングする人間は道外の人間であると、はなから決めてかかっているようだ。

ここは道民代表として、
「北海道の人間だってこういうところをサイクリングするのだ!」ということをアピールすべく
もう一度
「札幌です!」
と力強く答えた。

そうすると、おばちゃんは「なんだ北海道の人か」とちょっとがっかりしたような感じで
「札幌から何日かけて来たんですか?」
と聞いてきたので、
「昨日の夜中に出て、10時間かけてここに来た」
と答えると、
「え、一日でここに来たんですか!」
と、死ぬほどビックリされた。
ふふふ、どうやらこの勝負は私の勝ちのようだ。
何に対する勝ちなのかは、さっぱりわからないが。

その後も、おばちゃんは
「雨には降られなかったですか?」
とか、いろいろ声をかけてきてくれた。
気さくで人情味あふれる、よいおばちゃんだった。

館内に入ります。
館内は撮影禁止なので、ここからは写真はなし。

展示物とかは、別に「ふーん」とか「へー」って感じですね。
私は博物館とか美術館とか、そういった館モノをあまり楽しむことのできない人間だ。

でもね、この記念館はよかった。
本当によかった。
何がよかったって言うと、一階ホールから見下ろす、塩狩駅の様子がよかった。
林越しに見える、駅の様子に心の底から安らぎを感じた。

守られていると言うか、癒されると言うか、まあ、言葉にはできないが、
この空間のかもしだす雰囲気に、ただただ圧倒された。
写真に撮れないのが、本当に残念だった。

ボーっと、駅を眺める。
この感じは、先月行った札沼線の豊ヶ岡駅と似たような感じなのであるが、やっぱり違う。
豊ヶ岡駅は自然につつまれた優しさを感じられたのであるが、
塩狩駅はそれに加えて、人のぬくもりを感じさせる。

いや、やっぱり、違う。
あまりこういう言葉は使いたくないのだが、神に守られている聖なる空間
という表現が、この駅には一番しっくり来るのかもしれない。
犠牲になった長野さんが、今もなお全力でこの地を守っているという
そんな不思議な感じが、記念館から見下ろす塩狩駅にはあったのである。

記念館を訪れた人の感想文を読みながら、駅を眺めること、30分ぐらい経っただろうか。

不意に、もういいかな・・・と思った。

もう、いいかな・・・

今日の俺は、これを見に来たんだ。
きっとこれ以上進んだところで、これ以上の光景には出会えないと思った。
だったら、最高の光景を目に焼き付けたまま、ここで帰るのが幸せなんじゃないかと・・・。

そうだな、帰ろう。

別に体力の限界まで進んだとか、そういうわけではない。
でも、限界を知ることよりも、もっと大事なものがあるんじゃないか。
「朝に道を聞かば、夕べに死すとも可なり」という故事成語もあることだ。
最高のものに出会った以上、ここで帰っても後悔はない。

「よし、帰るぞ!」と心を決め、記念館から出ようとした。

すると、受付のおばちゃんが
「このあと、どこまで行くんですか?」
と、声をかけてきた。

「ええ、このまま名寄の方まで行こうと思っています」

あー、俺のバカバカバカ。
どーして、素直に帰るということが言えない。
なぜ、見ず知らずのおばちゃんに見栄を張る必要がある。
別にここで帰ると言っても、全然恥ずかしいことではないのだぞ。

そんなわけで、おばちゃんに「更に北へ行く」と言った結果、

自分の限界を目指す旅は続行されることになったわけである。

「このあとも、雨が降らなければいいですね」

おばちゃんは、最後までいい人だった。

(つづく)
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by gossy54200 | 2010-09-23 19:48 | ロード | Comments(4)  

Commented by waltz_t at 2010-09-23 20:30
いつもながら何回か噴出しながら読ませて頂いているわけですが。
おばちゃんに感謝すべきかどうかはこの後の展開によるのですね。

それにしても塩狩駅付近、魅力的なところです。
Commented by gossy54200 at 2010-09-23 21:48
小説の背景が頭に焼き付いてましたので
余計に駅に対する感情移入が激しくなりましたね。

今年の夏は暑かったですが
記念館のおばちゃんによると、この辺はやはり涼しかったようです。
その分、冬は厳しそうですが・・・。
(記念館は冬季閉鎖です)

あと、この付近には塩狩温泉と言うわびさびの効いた温泉があったのですが、今は閉鎖されていて残念でしたね。
Commented by hashirouyo at 2010-09-24 10:00
まだ行くっ!?いったい何キロ走るのですか~!!

何だか走りたくなってきました(笑)
Commented by gossy54200 at 2010-09-24 17:42
>何だか走りたくなってきました(笑)

そう思わせることが、この文章の狙いです(笑)

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