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2010年ラストラン(その2)

その1

厚田に着いた私は、まずは「夕日の丘」を見ることにした。
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夕日の丘というぐらいだから、それはそれは夕日がものすごくきれいなところだそうだが
残念ながら、今は昼の11時だ。

夕日が見れなくて悔しいので、意味もなく太陽の写真を撮った。
写真だけ見ると、真夏の太陽のようだ。
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写真のように、この日はいい天気で、しかも11月の割には気温が高めだったので
バイクの集団とかがうようよいて、居心地が悪かった。
しかし、今回は嫌な思いをすることを目的にしているので、まずは幸先のよいスタートと言えよう。

次は、「厚田公園」に向かうことにした。
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このパークゴルフ全盛の時代に、あえてゲートボールで勝負しているところに好感を持った。
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昔、近所の公園でゲートボールをしていた老人達はどこへ行ったんだろう。
まあ、みんな死んでしまったと言えば、身もふたもないのであるが・・・。

どうやら中には入れないようだ。
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手書きの汚い文字が哀愁を誘うが
最後の「申し訳ありませんが・・・。」の1行で、何もかも許してやろうという気分になる。
「申し訳ありません」は人間関係を円滑に運ぶキーワードだ。

ちなみに私の得意技は、怒っている人に対して、無表情に全く心をこめないで
「申し訳ありません」と言って、ますますその人の感情を逆撫ですることである。
私も、この看板を書いた人に見習って、心を込めた「申し訳ありません」をマスターしたいものだ。

それにしても、公園まで行って、中に入れないというのは
十分なガッカリ感があり、ますます楽しくなってきた。
まあ、きっと中に入ったら入ったで、もっとガッカリする結果になるのであろうが。

公園の近くにあった「厚田資料室」
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イラストの人は、厚田の生み出した4人の偉人である
藤松太郎さん・子母澤寛さん・戸田城聖さん・吉葉山潤之輔さんなのであるが
4人とも知らないし、特に何をしたのかということも興味がない。
とりあえず、一番右が相撲取りだぐらいのことは、なんとなく想像がつく。

この文章を読んで、厚田資料室に興味を持った方には申し訳ありませんが
当施設は11月~4月まで冬季休業になりますのでご了承下さい
と、資料室の管理者に代わってお詫び申し上げます。

うむ、ここまで、夕日の見れない夕日スポット、入れない公園、開いていない資料館と
なかなか行かなきゃよかった感を味わうことができていて、いい感じである。

この勢いで、ついに男一人で「恋人の聖地」に向かうことにした。
なんだかワクワクするぜ。
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ここで「恋人の聖地」について、簡単に説明しておきます。
(以下、「恋人の聖地プロジェクト」のHPより引用)。

 NPO法人地域活性化支援センターでは「少子化対策と地域の活性化への貢献」をテーマとした『観光地域の広域連携』を目的に「恋人の聖地プロジェクト」を展開しています。
 恋人の聖地プロジェクトでは、2006年4月1日より、全国の観光地域の中からプロポーズにふさわしいロマンティックなスポットを「恋人の聖地」として選定し、地域の新たな魅力づくりと情報発信を図るとともに、地域間の連携による地域活性化を図っています。
 また、このプロジェクトでは「非婚化・未婚化の進行」を少子化問題のひとつとして捉え、若い人々のみならず地域社会に向けて「結婚」に対する明るい希望と空気の醸成を図るための活動をしています。


 現在、全国で選定された「恋人の聖地」は100ヶ所を越え、各地域による様々な活動を通して若いカップルのみならず、あらゆる世代の方々の新たな観光スポットとして、幅広く注目を集めてきています。

ということで、「恋人の聖地」は
「いい景色が見える場所で、二人の愛を誓い合う」という、私には一生縁のないところである。

恋人の聖地までは、400mぐらいの、結構キツイ上り坂が続くのであった。
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沿道には、地元の素人が作ったと思われる短歌の歌碑がある。
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恋人達はこの道をテクテク歩いて上っていくのであるが
下の短歌の「かーん」を見て、これから愛を誓い合おうとするカップル達は、何を思うのであろうか?
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まるで恋人達の空気を読まない、ロマンチックのかけらもない短歌にすっかり心が癒されたところで
「ラブホテルそのまんまやん」という建物が現れた。
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おお、これが「恋人の聖地」ですか!
あまりにもストレートすぎる建物ではありませんか。

「恋人の聖地」から海を見下ろす。
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写真の腕が悪いのもあるが、そんなにいい景色じゃないんですけど・・・。
多分、夕日が見えるときに行った方がいいんだろうなあ。

ということで、この景色を満喫できる夕日の時間帯ではないときに、こんなところをうろつく人間は少ない。
私が発見したのは、50ぐらいのむさくるしいおっさんひとりだけであった。

ん?

おっさんがひとり?

何でこげなところに、おっさんがひとりで来てるねん!

と、自分のことは棚に上げて、おっさんの存在を心からうとましく思った。
きっとそのおっさんも、私に対して同じような感情を持っていたに違いない。

しかし、居心地の悪さを感じるには、これは絶好のシチュエーションだ。
下手にカップルに囲まれるよりも絶望感を感じる。

だって、あんた、想像してごらんなさい。
日曜の昼間に、デートスポットに、おっさんが二人でたたずんでいるんですぜ!

ん、おっさん二人きり?

ふと思った。

これはひょっとしたら、オレとおっさんの間で愛を誓えということか?


そう考えると、おっさんはホモで
オレみたいにひとりで来る奴を狙っているんじゃないかとすら思えるようになった。
今はベンチに座ってタバコを吸っているだけだが、いつ豹変するかわからない。
おっさんの気をひかぬよう、目を合わせないようにして
恋人の愛の誓いが書いてあるカギに注目することにした。
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悪趣味と思われるかもしれないが、私はこういう他人の書いたものをじっくり見るのが好きだ。
神社の絵馬とか七夕のたんざくとか、よーく見ると結構おもろいことが書いてある場合が多い。

その中での「今回の願い事大賞」は、壁に書かれたこの落書きに決定した。
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多分、この人は働きもしないで、酒ばっかり飲んでは
夜の街で働いている恋人に、家で暴力をふるっているような男なのだろう。
いつも苦労をかけている恋人に「すまない」と思うメッセージはすばらしいが
私からこの男と付き合っている恋人にはっきり言おう。








別れろ!



さて、私が恋人達のメッセージに気を取られている間に
さっきのおっさんは、いきなり愛の鐘をゴンゴン鳴らしていた。
何がしたいんだ、おっさん?
ひょっとして、オレの気を引こうとしていたのか?
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ますます、おっさんの存在が怖くなってきた。
ハァ、こんなとこ来なきゃよかったよ。

おっさんがいつ何をしてくるかビクビクし始めたところで、老夫婦のカップルがやってきた。
よし、これでおっさんは、オレにちょっかいは出さんだろう。
この隙に逃げよう。

心の底からの居心地の悪さと、無力感を感じ、全速力で坂を駆け下りた。
駆け下りた際に若いカップルを一組見たが
彼らはこんなところを、全速力で自転車で駆け下りるアホを見て、何を思ったことか。

「恋人の聖地」
そこは、自分の人格を全否定するには最高の場所。

きっとまた来る。







もちろん、ひとりで・・・。

(つづく)

by gossy54200 | 2010-11-23 00:53 | ロード  

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