人気ブログランキング | 話題のタグを見る

命日(その1)

今日は私の友人の命日である。

一応、今日ということになっているが、本当は昨日なのかもしれないし、明日なのかもしれない。
真相はよくわからん。
まあ、ここで彼の死について一旦離れ、話題を唐突に変える。

私は学生を2回やっている。
まあ、2回学生をやった事情は、そのうち機会があれば紹介していくことにして
2回目の学生のとき、入学時ですでに24だった私は、周りの10代の若者達の中で完全に浮いていた。

とは言え、すでに1回目の学生生活はバイトと遊びで十分満喫したので
2回目の学生生活は
勉強やって、就職するための資格さえ取れれば、友達なんていなくていーやぐらいに思っていた。

実際に、最初の1ヶ月ぐらいは
堂々と、誰も座りたがらない教室の一番前の真ん中の席に座り
授業中はものすごい勢いで、先生の発言した一字一句をノートに写し
休み時間になると、力尽きてひたすら眠り
昼飯は出がけに北欧で買った半額のパンを、ひとりでもしゃもしゃと食い
その日の講義が終わると、クラスメイトの誰とも目を合わせずに
マッハゴーで挨拶もなしに、風の又三郎のように帰って行くという
学生生活をまるで満喫する気のない男を演じていた。

そんな中で、私によくかまってくれた、茶髪の一見近寄りがたい雰囲気の若者がいた。
外見はミュージシャンっぽく見えたその若者は、話してみるとただのゲームおたくだった。
私は今となっては全くゲームをやらないが、当時はそこそこのゲームおたくだったので
彼(以下N君とする)とはすっかり意気投合までは行かなかったが、そこそこ仲良くなり
一緒にたまーにゲーセンに通うぐらいの仲になり
それがきっかけかどうかはわからんが、他のクラスメイトともそこそこ心を通わすようになってきて
何だかんだで、1回目の学生時代と同様、そこそこ楽しい学生生活を送ることができたのだった。

最終学年になって、就職を決めるとき
別に狙っていたわけではなかったが、どういうわけかN君と私は同じところに就職した。
そこは道央圏で転勤のある組織であったが
彼は札幌勤務を狙っていて、私は別にどこでもいーやという感じだった。

しかし、得てしてこういうときは、思惑とは違う結果になってしまうのである。
ふたを開けてみると、私が札幌勤務で、N君は苫小牧勤務となってしまった。
勤務先が決まったとき、彼は泣きそうになりながら私のところに電話した。
当時、N君にはラブラブの彼女がいて
「遠距離恋愛なんて考えられない!どうすればいいんだ?」
と、私に泣きついてきた。
私を人事担当者か何かと勘違いしているらしい。

N君「新札幌に住んで、JR通勤する!」
私「いや、でも夜中休日呼び出しのある職場なんだから、もっと近くに住まないと・・・」

N君「じゃあ、南千歳に住む!」
私「いや、そんなとこに家なんてないし・・・」

短気な私はだんだんイラっと来て
「どーせ2年ぐらいで札幌戻れるんだから、苫小牧で頑張りなよ!
苫小牧でお金貯めて、札幌戻ってから結婚でもなんでもすればいいんじゃない?」
と、まるで心のこもっていないアドバイスをN君に送った。

でもって、その翌日、私の車でN君を苫小牧まで案内し、部屋探しの手伝いをした。
(学生時代のバイトで苫小牧は何回か行ったことがあるので、少し土地勘はあった)
別にこれはN君がかわいそうだからとか、そんな理由では全くなく
単に私が苫小牧までドライブしたいから、そうしただけであった。

N君を拾おうと、彼の家の前に行ったら、彼女も一緒にいて
私とN君とその彼女という、非常に私にとっては居心地の悪いドライブとなり
気分はあたかもタクシードライバーだった。
もう、車は貸すから、お前ら勝手に行け!って感じだった。

そんな三人の楽しい部屋探しも終わり
月日は流れ、私は札幌でのシングルライフをエンジョイし
(学生時代は岩見沢の実家から通っていた)
彼は彼で、週末になると、隔週でN君が札幌に行ったり、彼女が苫小牧に行ったりで
仲むつまじくやっていた。

私も仕事上で落ち込んだときは、苫小牧に行って、N君にはよく愚痴を聞いてもらったものだ。
N君は非常に仕事に対して前向きな頑張り屋で
嫌なことがあったら、すぐその場から逃げ出そうとする私とは正反対の人間であったのだ。
とても私の6つ年下の人間とは思えない。
というか、単に私が子供すぎるのであった・・・。

でもって、更に月日は経ち
今度は、私が苫小牧に行き、N君は札幌に戻ることになった。
札幌に戻ったN君は、ますます彼女とラブラブと言いたいところであるが
どうも話を聞くと
「彼女が仕事上で悩んでいて精神的にまいっている」
ということだ。

そうか、そうか大変だなあ。
私も最初に勤めたところ(2回目の学生の前)は
彼女と同じような仕事だったから、その気持ちよくわかるよ。

しかし、生真面目なN君は彼女に対して真摯になりすぎたようだった。
そして、仕事上でも、少し真剣になりすぎたようだ。
それが、後になって災いとなる・・・。

さて、そのときの私・・・。

苫小牧で完全に打ちのめされていた。
仕事上では4年目で中堅クラスとなり、やりがいを感じ始めてきたところであるが
人間関係ですっかり打ちのめされた。
10/7のブログ参照)
正直、N君と連絡をとるとかそんな余裕もなく
人間関係を忘れようと、無理に仕事に没頭した。
退職者が出た関係で仕事の負担も増え、常に肉体的、精神的に疲れがたまっている感じだった。

そんな私の様子を上司が察したのか、あるとき別室に呼び出された。
「キミはこっちに来て、よく頑張ってくれている」
「最初は2年ぐらいで札幌に帰そうと思ったけど、キミにはもっと長いスパンでこっちにいてほしい」
と、普段ほめない人が、妙にほめてくれて薄気味悪くなったところで、本題に入った。
「最近、疲れてないか?」
「もし、今の仕事が負担だったら、少しオレがかぶる」
「だから、キミには無理をしないで欲しい」

「えっ、いきなりどういうことですか?
私、ちっとも無理なんかしてませんよ。これぐらいの仕事なら全然問題ないですよ。」
いきなりの上司の言葉に私は強がった。
強がったところでメガトン級のパンチが飛んだ。

「実はNが・・・、鬱病になって休職することになったんだ・・・」
「だから・・・、キミには無理して欲しくない・・・。最近疲れているのはわかる・・・」
「いいか・・・、ここで・・・・・・・・・、だから・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

N君のことを聞いた瞬間、その後の上司の言葉はまるで頭に入らなかった。

(つづく)

by gossy54200 | 2010-11-24 21:40 | 日記  

<< 命日(その2) 2010年ラストラン(その3) >>