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伊達ハーフマラソンに出た(その2 男優との戦い)

その1

スタートラインからはるか後方にいた私にとって
「え、もうスタートなの?」ってぐらい、さりげなくレースは始まっていた。
「そーいえば、ピストルの音が聞こえたような気がしたなあ」って感じ。

ピストルの音は聞こえたが、私の周りは一歩も動き出す気配がないのはどーゆーことだ。
恐るべしはスタート直後の大渋滞なのであった。

1分以上かけて、やっとスタートラインに到達した。
ここでストップウォッチをONにしよう。

心拍数計もつけて、あまり限界まで追い込まないように
160を超えない程度で、心拍数を管理しようと思っていたが
出だしから心拍数計は「190」とかありえない数値を出しまくった後に、息絶えて「ゼロ」になってしまった。

心拍数計によると、どうやら私は心臓発作で死んでしまったようであったが
どういうわけか、現実の私は生きて走っている。
オレは幽霊なのだろうかとも思ったが、二本の足は存在し、しっかりと大地を踏みしめているではないか。

ここは現実的かつ理論的に考えると
どうやら私が死んだよりも、心拍数計が壊れていると考えるのが妥当であろうと思われる。
えーい、面倒だ。心拍数など気にしないで、本能のおもむくまま行ったれ!

スタート直後の大渋滞はすさまじかった。
そりゃあ2000人以上の人が一斉にスタートを切るんだから、すげえよなあ。
走っている人がずらーっと数100mにもわたり連なっている姿は、ある意味壮観だった。
周りは360度人・人・人で、抜かしたりする隙間もない。

歩くのに毛が生えたような超スローペースかなあと思ったら
最初の1キロのタイムは5分46秒。
あれ?いつも自分が感じているよりも速いんじゃないか。

1キロを過ぎたあたりで、人がバラけてきて、抜かしたり抜かされたりする余裕ができてきた。
沿道の声援に手を振りながら、快調に飛ばしていく。
あー、いいねー。沿道の声援。
普段、健康づくりセンターやつどーむで走っているときには、絶対に味わえない快感だ。

沿道の声援パワーに押されながら、2キロ地点。
ラップタイムは4分56秒。

おお、これは快調を通り過ぎて、明らかに飛ばしすぎだ。
前日読んだ金哲彦氏の本に
「初心者ランナーは、周囲のランナーの勢いに背中を押され、つい、いつもよりも速すぎるペースで走ってしまうことが多い」
と、書かれていたが、正に、典型的な初心者ランナーが陥りがちなミスを犯してしまったようである。

落ち着け、落ち着くんだ。
あくまで最初の5キロは30分で切り抜ければいい。
1キロ6分のペースでいいのだぞ。

2.5kmぐらいのところで、最初の給水。
コップを持って、一口がぶっと水を飲んで、他の人がやっているように道の脇に紙コップを捨てる。
給水場は、ランナーの捨てた紙コップの山であった。
ああ、道路にゴミを捨ててしまって申し訳ない。
そして、おびただしい数の紙コップを片付けてくださる大会スタッフに
心よりの感謝をこめて、給水所を後にした。

3km地点。ラップタイムは5分11秒。
4km地点。ラップタイムは5分15秒。
まだ、ちょっと速いな。もうちょい落とさねば。

4km地点の辺りから、コースはサイクリングロードに入ります。
人がばらけてきたのはいいのだが、サイクリングロードは周りに風をさえぎるものがないので
びゅんびゅん向かい風が当たり、うわー、こりゃあたまったもんじゃねえ。
(この日の風速は5mぐらいでした)

集団からバラけると、風をモロに受けるので
とにかく風除けのために、コバンザメのように、人の背中にピッタリひっつく戦法をとった。

5km地点。通過タイムは26分27秒。ラップタイムは5分25秒。
当初の設定タイムよりも3分以上速いなあ。後半持つんかいな。

5km地点を過ぎたあたりで、正面には有珠山と昭和新山がダダンとそびえ
「うわー、いい景色だなあ。楽しいなあ」と思ったが
油断していると風を受け、おっとっと状態になるので
私よりちょっと速そうな人をつかまえて、ひたすら風除けになってもらう。
もうちょい優雅に走りたかったのだが、結構必死だな、オレ。

6km地点。ラップタイムは5分17秒。まだ、速すぎるなあ。

6kmも走っていると、さすがに周りはだいたい自分と同じペースの人が固まってくるようになった。
その中でも、赤いシャツを着たおっさんが、ちょうどいいペースで走っていたので
しばらくは彼をペースメーカーにして進むことにした。
この赤いシャツのおっさんは、私の知っているAV男優に似ているので、「男優」と私の中で名づけた。

男優のペースに合わせて、7km地点。ラップタイムは5分24秒。
うむ、いい感じかな。

8km地点。ラップタイムは5分31秒。
9km地点。ラップタイムは5分34秒。
給水所でグビっと。
うむ、いい感じでペースは落ちている。ここで後半の足をしっかり貯めておこう。

コースはサイクリングロードを過ぎて、下り坂に入ります。
ここから下り坂+追い風と、ランナーにとってはスピードを上げたくなるような状況であるが
コース下見の段階で、この後キツい上りがあるのを知っていたので
あえてブレーキをかけながら進んでいく。

10km地点。通過タイムは53分28秒。ラップタイムは5分14秒。
当初の予定よりも5分近く早い。

11km地点。ラップライムは5分8秒。
11km地点にあった大時計では、スタートからの時間はまだ1時間経っていない。
「おお、これはひょっとしたら2時間以内で行けるのでは」と希望を持った。
尚、この時点で、男優とは抜き抜かれつの戦いを演じている。
私の中で、男優を勝手にライバルと決めていたのであった。

11kmを過ぎた辺りから、上り坂がキツくなってくる。
ガンバレ、ここが最大の勝負どころだ。

勝負どころなのであったが
6km地点ぐらいからデットヒートを繰り広げていた、男優の背中が遠くなっていく。
ああ、最初のオーバーペースがここに来て響いてきたのか。

伊達トンネルに入る。トンネルの中も軽い上り。600mぐらいずーっと真っ暗だった。
「待ってくれ男優」という気持ちとは裏腹に、彼との距離はどんどん開いていく一方だ。
ああ、オレはもう燃料切れなのか・・・。

トンネルを抜けて、12km地点。ラップタイムは5分44秒。
お、思ったよりも速い。一番キツイところを6分以内で切り抜けた。
どうやら、私のペースが落ちたというよりも、男優の奴が無理をしていたんだろう。
大丈夫だ。まだまだ行ける。
周りを気にしないで、このペースを下りに入る15km地点のところまで保っていこう。

ところが、12kmを過ぎた辺りから、男優の背中がまた近づいてきた。
私のペースが上がったというよりも、男優のペースが落ちてきたのだろう。
「あー、あそこの上りで体力を使い果たしたのか。無理しやがって」と思いながら、男優を抜いた。
男優はそれ以来、二度と私の前に出ることはなかった。

さようなら、男優。
男優のおかげで、ここまでいいペースを保つことができたよ。
男優の分もオレはこれから頑張るよ。
ここまで共に頑張ってきた男優の健闘をたたえつつ、レースはいよいよ後半にさしかかるのであった。

当然のことながら、男優がその後、どういう運命をたどったのかは知らない。

ここまで12km地点で、1時間4分21秒。

(つづく)

by gossy54200 | 2011-04-19 00:38 | ランニング  

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