8年ぶりにフルマラソンに挑戦した話(その4)

その3

36km地点を過ぎ、今までに見たこともないような、デラックスな給水所にぶち当たった。
いや、これは給水所というよりは、休憩所という名前がふさわしいような気がする。

まずはエアーサロンパスを持ったスタッフが大量にいる。
すでに全身の筋肉がガチガチになっている私は
迷わずスタッフからエアサロを一本借りて、足や肩にガンガン吹きつけた。
ああ、わかる。
ガンガン熱を持った筋肉が、キンキンに冷えていくのが。

どういうわけか冷水シャワーも完備していたが、これはパス。
でも、真夏のマラソン大会にこういうシャワーを浴びたら、死ぬほど気持ちがいいんだろうなあ。

そして、スポーツドリンクを飲み、バナナを食べて
「よーし、エネルギーも補給したし、行くか!」と思ったが
「こちらにパンもありますので食べてください~」との案内に、ふらふらと吸い寄せられていく。

パンは一口サイズにカットしてある。
ウインナーパンを食べた。



うめえ

うめえ

うめえよ、うめえったら、うめえよ!!!


今までの人生の中で、一番うまいウインナーパンだったと言っても過言ではない。
これは、うまい。
とにかく、うまい。
すげえ、うまい。

ウソだと思う人は、来年、つべこべ言わずに36km走ってから、このパンを食べてみろと言いたい。
俺の言ったことがウソでないということがわかるから。

あー、腹も心も満たされた。
勢い良くパンを食べて、ちょっと喉が乾いたが
50mぐらい離れた給水地点に戻るも苦痛だったので、その場にたたずむことにした。

すると係員は、私に椅子を勧めてくれた。
私は先を急ぐランナーで、そんな誘惑に負けるわけがないのであるが
どういうわけか、気がついたときには、私は椅子に深く腰掛けていて、至福のひとときを過ごしていた。

椅子に座りながら、ストレッチ。
まずは伸び。
伸びたところから、今度は体側を伸ばします。
コキっ、コキっと。
さあ、今までの疲れを全部飛ばしましょう。
だつ~~っ、りょくっと。

すっかり脱力しきった私は、もう走るのヤダ状態になっていた。
この豪華な休憩所は、私にリタイアさせるために、悪の組織がこしらえた罠に違いない。

このまま何時間でも、休んでいたいけど
ただこのまま疲れた足を、止めていたいけど

と、昔の薬師丸ひろ子の歌がパッと頭に浮かんだが。
とりあえず、休むのはゴールに着いてからにせんかい!
まだ、6kmぐらいも残っているのだぞ。

結局3分ぐらい休憩していましたね。
おかげで、随分体は軽くなりました。
よし、ゴールを目指すぞぉ。

300mぐらい走ったところで
私の前に「I'm not a virgin」と背中に書かれた、頭の悪そうなTシャツを着ている男がいた。
おいおい、恥ずかしげもなく、よくこんなTシャツ着てられるなあ。
せっかくだから、どんな顔かチェックしてやろうと思い、そいつの前に出て顔を見た。

そっか、そっか、こんな顔でコイツはやることやってるのか。
日本もまだまだ捨てたもんではないなと思い
私の今後の未来に明るい展望を感じたのであった。

私の今後の未来は明るいのであるが、現実の目の前は真っ暗であり
休憩効果もたった3分ぐらいで消えてしまい、ウルトラマンレベルの耐久力になってしまったのであった。

あれですね。ここから先は、辛かったですね。
脳みそは、もっと前に出ろと命令しているのだが、足が全く言うことを聞いてくれない。
自分がイメージしているよりも半分ぐらいの歩幅でしか、前に動いてくれない。

あー、動けよ足。
何やってんだよ!

もう辛い。
辛いったら辛い。

今をさかのぼること8年前、私をマラソンの世界に誘ってくれた師匠は語った。

gossy君、マラソンはな、35kmを過ぎてからが面白いんだぞ

その言葉を支えにして、35kmまでひたすら頑張ってきた。
そして、35kmを過ぎた今、これだけは師匠にはっきり言える。

「ウソつくな、ボケ( ゚Д゚)」

何がどう楽しいんだ?

芸人上岡龍太郎は、こんなことを語っていたような気がする。

フルマラソンでゴールが近づいてくると、もったいないという気持ちになりますね。このままゴールするのが惜しくて、逆向きに走りたい心境になります

いや、全然もったいなくないぞ

むしろ、ゴールが俺の方に走ってこないかい!

40km通過。
タイムは4時間30分53秒。

ここで、8年前のタイム4時間40分を切るのは不可能だと思ったところで
心はポッキリ折れましたね。
もう、目的もなく、タラタラと前に出るだけです。

にしても、フルマラソンの距離って、なんでこんなに中途半端なんだ。
40kmで終わりでえーやん。
2.195kmがめちゃくちゃ余計だっちゅーねん。

40km過ぎから、沿線でバーベキューをしながら
苦しんでいる我々を見て楽しんでいる、悪趣味な人たちがいた。

いや、応援しているのはわかってるんだけどね。
なんかもう、応援を受け入れる余裕なんてないのよ。

「折れない心」と書かれているタオルを持って、我々を励ましている人が沿道にいたが
すでに心が折れている私は、その人からタオルを奪い取って、ビリビリに破いてやりたかった。
あー、いかん、いかん。
疲労のために、精神まで荒廃してきている。

42km通過。

なんで、フルマラソンの距離って、こんなに中途半端なんだ。
42kmで終わりでえーやん。
195mがめちゃくちゃ余計だっちゅーねん。

そして、最後の195m。
もちろんスパートなどかける余裕はない。
軽い上り坂をふらふらになりながら上り、ついにゴールラインをまたいだ。

ああ、終わった。

終わったんだ・・・

もう、1mmも走らなくていいんだ・・・・・・


残ったのは、疲労感と脱力感と、「もうこんな苦しいことをしなくてもよい」という後ろ向きな喜びだけ。



タイム 4時間46分9秒

(つづく)
[PR]

by gossy54200 | 2011-06-08 23:04 | ランニング | Comments(2)  

Commented by 店員A at 2011-06-09 17:14 x
BBQをしながら応援する悪趣味な人、、と感じてしまうお気持ちよくわかります。美幌デュアスロンの最後の5Kにもいっぱいいたなぁ。それを考えるとホノルルマラソンの際の”You are HERO”というプラカードは素晴らしいのが判りますね。
お疲れさまでした。
Commented by gossy54200 at 2011-06-09 22:28
"You are HERO"っていいですね>ホノルルマラソン
そう、速い遅いに関わらず、みんなヒーローなんですよ。

定番ですが、生きているうちに一度は参加してみたい大会です。
あと、ホノルルセンチュリーライドも。

<< 8年ぶりにフルマラソンに挑戦し... 8年ぶりにフルマラソンに挑戦し... >>