俺チャレ2015~ブロンプトンで行く逆オホーツクサイクリング(その9)

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いよいよ、単なる自己満足以外の何者でもない「俺チャレ」も終盤戦を迎えました。
こっから16kmぐらい、延々と上り坂が続きます。
平均勾配が4.6%だから、札幌近郊で言えば、手稲山(平均勾配5.9%)に比べると、斜度はそうでもないんでしょうな。
ゆるくダラダラと上りが続いていく感じなのでしょうか。


さて、ここでブロンプトンと坂道について語ります。
私は自転車のカスタムということについては、ほとんど興味がないので、ほぼノーマル仕様でブロンプトンを酷使しています。
(以前、サドルだけ革サドルのアナトミカにしてみたが、結局ノーマルに戻した)

3段変速であろうが、ブロンプトンを買ったときから、山越え谷越え100kmは走るという、世のブロンプトン愛好家からすると「虐待」と言えるような使い方をしてきたが、当時は坂があると「押し」を入れてしまわなければならないことに大いに不満だった。
峠道に入ると、2キロも3キロも延々と自転車を押し続けることが、耐え難い苦痛であった。
そこで、押しを入れないために、脚力の強化を図るのが、ホンモノの自転車乗りなのであろうが、私はマガイモノの自転車乗りなので、脚力の強化などという地道な努力をしないで、サクッと坂を上りたかった。

そんなとき、「クランクをノーマルの50Tから44Tに替えると、びっくりするほど坂が上れるようになる」という話を聞き、ノーマルでブロンプトンに乗り続けることを信条としていた私も、ついに「カスタム」の道へと走ってしまったのであった。

とにもかくにも、50T→44Tへとクランクを交換した。
効果は絶大だった。
手稲山、支笏湖は押しを入れずに上れるようになり、坂だらけの「美瑛センチュリーライド」でも、一度も押しを入れることなく、2日間で160kmを完走することができた。
距離は短いが、洞爺ウインザーホテル裏の18%の坂も上りきった。
どんな坂でもとはさすがに行かないが、北海道の大体の峠は、ブロンプトンで上りきる自信があった。
そのくらい、私は44Tブロンプトンに絶大の信頼をおいていた。

そんなわけで、私は全てのブロンプトンユーザーに44T化を勧めるかというと、そんなことはなく

「坂を上りたかったら、始めから6速モデルを買え」

と言う、至極もっともなアドバイスをさせていただく。
(6速モデルの1速と、3段モデル44T化の1速とは、ほとんどギア比は変わりません)


ということで、44Tブロンプトンは、この日も絶好調。
最初の3kmぐらいは、ちょろちょろと大した苦労もなく、坂を上っていきます。

川の水は涼しげに流れていく。

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廃墟ホテルは、別の意味で涼しげなものを感じる。
できれば、夜は通りたくないところだ。

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だんだんと、硫黄くさくなってきた。
道端には、たくさん車が停まっている。
一体、ここには何があるのかと思ったら、「熊の湯」という露天風呂があったのだった。

きっと、若い女性がいたら、「へえ~、熊の湯、どんなとこなんだろう」と様子を見に行ったと思うが、私の視界に入ってきたのは、オールオーバーおっさんだらけという見苦しい光景だったので、そのまま素通りすることにした。
私は秘湯よりも、俺チャレの方が大事なのである。

熊の湯を越えたあたりから、坂がキツくなってきた。

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そのころの私は、まだ元気いっぱいで、「こんな坂、望むところだ!」と気合が入っていた。
この峠のために、今まで封印していた1速にギアを落としますよ。

しかし、気合だけでは坂は上れない……。

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真っ直ぐで急な坂が続く。
スピードはみるみる落ちていく。
7~8km/hがやっとになってきた。
うー、これは苦しい。
全力で苦しい。

栄養が足りないので、カロリーメイトで補給する。
あー、食いたくねえ。
このカロリーメイトが余計にやる気をくじくクセモノであった。
もうカロリーメイトは飽き飽きだ。
アイスを食わせろ!アイスを。

急な坂はまだまだ続く。
体感的には10%ぐらいあったように思えたが、実際はMaxで7%ぐらいだったんだよな。
高い気温だったり、ここまで180km以上走ってきた疲労だったり、カロリーメイトに対する不満だったりで、かなりの苦戦を強いられている。
さすが、大ボスの知床峠だ。
正直、ここまで順調に進みすぎていたので、このぐらいの難関があってこそ、物語的にはちょうどよい。

……と、今の冷静な頭では思えるが、このときは、そんな余裕なんてなかったけどね。

まあ、どこまで坂が続くかって思いましたよ。


14:11。

2合目到達。
ここまで191km。

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ここで、国道335号線に入ってから、すでに7kmは上っている。

「7km上って、まだ2合目かよ!まだ、これの4倍上んなきゃならんのかよ!」


私は絶望した。
心の底から絶望した。
この急坂を、更に残り9km、自転車に乗って進む自信はなかった。
もう自転車はいやだ。
歩いて行く。

しかし、ここから自転車を押して歩いて上ると、時速4kmと考えて、頂上到達は16時を過ぎてしまい、ウトロ17時というタイムリミットに間に合わない可能性がある。

更にここでポカリスエットは、残り500mlとなってしまった。
まだ峠の20%しか進んでいないのに、水分は果たして足りるのだろうか。
したたり落ちる汗に対して、圧倒的に水分補給が足りていない状況なのである。
もちろん、こんな山道にポカリスエットを売っている自販機などあるわけがない。

ここで私は作戦を立てた。
ポカリの補給は、こっから2kmごとに100mlずつとっていくことにしよう。
とにかく、こっから2kmだけは、無補給で頑張って進んで行こう。
クソマズイカロリーメイトを口にしながら、そんなことを思っていたのであった。

ところが、神は私を見放していなかった。
2合目を過ぎた辺りから、坂がゆるくなっていくではないか!

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よし!この程度の坂なら行ける!
自転車から降りることはなく、黙々とペダルを回していきます。
走行ログを見ると、8~9km/hぐらいしか出てなかったんだけど、視覚的に坂がゆるくなるのを感じると、精神的に楽になりますね。
4~5%の坂をとろとろと、しかし、しっかりした足取りで進みます。

後ろから、バイクにクラクションを鳴らされる。
そして、そのバイクが私を抜かしたとき、ライダーが手を上げて「頑張れよ」と合図をしてくれた。

「お、おう、ワシ頑張るぜ!」

勇気百倍だ。
ライダーよ、ありがとう。
でも、後ろからクラクションを鳴らすのは、ビビるので、正直やめてほしいと思ったりする。


14:38。

5合目到達。
ここまで196km。

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2合目に到達したときの絶望感は、すでにない。
このぐらいの斜度なら、残り4km頑張れる。
ここで、ポカリスエットは残り250mlとなった。
よし、計画通りだ。
これなら頂上まで持つ。
などと、味のしないカロリーメイトを口の中にぶち込みながら、自分を鼓舞する。

そして、ふと、後ろを振り返ると。

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目の前に鮮やかなオホーツク海が、どこまでも広がっていた。
この眺めこそ、自転車で坂道を上る至高の喜び。

2合目までは、「こんな坂やってられるか!」と思ったが、ここまで上り切れてよかったよ。
あと、もうちょいだ。
最後の力を振り絞るのだ。

相変わらずのかんかん照りで、非常に身体はホットであるが、雪を見ると、一気に体感気温が10度ぐらい下がるような気がするよ。

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15:00。

200km地点到達。

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ここまでの走行時間は、休憩時間込みで11時間56分と、200kmブルベの制限時間(13時間30分)に対して、1時間以上も余裕がある。
かと言って、ブロンプトンでブルベに出ようなんて思わんがな。

でもって、頂上まで上るだけだと思ったら、ちょこっと下り坂なんかもあって、ますます「これは行ける!」って気分になる。
約2時間ぶりの下り坂の、なんと気持ちのよかったことよ。

下り坂で、女性ローディーとすれ違う。
ピンでヒルクライムに挑む女性ローディーは輝いている。
私は群れをなさないで、ひとりで行動する女性を、心底かっこいいと思う。

一瞬の下りの後、再び1kmほど上りが続くが、もう大丈夫だ。
遠くに、峠のてっぺんも見えてきた。
もう少し、あと少し。

そして……。


15:10。

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知床峠、到達!!


ここまで201km。


ゴール斜里まで、残り55km。


つづく
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by gossy54200 | 2015-07-21 21:03 | ブロンプトン | Comments(4)  

Commented by pen at 2015-07-22 13:43 x
ぬぉ~! 知床峠かっこええ!
行ってみたくなりました。(実際問題は遠いのでびみょう) いいお天気ですねぇ。
ペースも、200kmブルベ楽勝(貯金1.5時間)とはスゴイです。
Commented by gossy54200 at 2015-07-23 19:03
知床峠は、先日のブルベ比布1000の舞台にもなっていましたね。
景観は今まで走ってきた峠の中でも、ずば抜けて素晴らしかったと思います。

ペースは追い風に恵まれましたね。
標津辺りまでは、ひょっとしたら14:30ぐらいには峠の頂上に着くかなあと思っていましたが、知床の坂は、そこまで甘くありませんでした。

Commented by まきすけ at 2015-07-28 09:01 x
時々ブログを拝見させていただいております。

俺チャレ成功おめでとうございます。
「走り」よりもポカリスエットとカロリーメイトだけとの「縛り」がかなりの苦行なんですね。

ところで50Tを44Tに変えると、そんなに違うんですか?
なんだか気持ちがグラつきます。
私も変えちゃおうかな、と。
Commented by gossy54200 at 2015-07-28 21:57
まきすけさん、二度目まして。
コメントありがとうございます。

今回は天候や風向きに恵まれ、無事成功することができました。
そして、自転車の楽しみは「食」にあるんだなあと、しみじみ痛感した「縛り」ルールでありました。

さて、ご質問の件。
私は「かなり」違うと思います。
極論すれば50Tの2速が44Tの3速、50Tの1速が44Tの2速ぐらいに感じられるかもしれません。

本文にも書きましたが、6速モデルの1速が、44T3速の1速のギア比にかなり近い感じですので、6速モデルのブロンに乗る機会があれば一度「6速モデルの1速」を試されてみるといいと思います。

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