先日「
ゼロベースランニング」について書いていきましたが、この本の著者である高岡尚司さんと、足袋メーカー「きねや足袋」が共同開発したランニングシューズがあります。
それが、世界初と言ってもいいであろう「ランニング足袋」である「MUTEKI」である。
「無敵」というのは大胆なネーミングであるが、果たしてこの足袋を使うことによって、私は無敵になれるのか?
実際に買ってみて試してみることにしました。
これはシューズじゃなくて「足袋」ですね。
想像以上にペラッペラな外観です。
こんな靴下に毛が生えたようなもので、まともに走ることはできるのか。
靴裏はこんな感じ。
本格的なランニングシューズに比べると、クッション性は皆無で、ペラッペラのゴムである。
本当にこんなショボ…、いや簡素な作りのシューズが「無敵」なのか?
実際に履いてみます。
うげげ、何じゃこりゃキツいぞ、キツ過ぎる。
爪先には余裕があるのだけど、厚みというか、高さがないので足の甲がなかなかシューズに入っていかないのである。
本当に「無敵」なのか?これ?
どうにかこうにか履くことができました。
見ての通り、親指と人差し指のところが割れているので、ソックスを履くときは5本指ソックスじゃないとダメですね。
本当は裸足の状態で履くことを推奨されているようですが、親指と人差し指の間が擦れて痛いんじゃないかって気がしたので、まずはソックスを履いて様子を見ます。
横から見たらこんな感じ。
まあ、とにかく軽いですね。
しかし、ちょっと歩いただけで、足の裏にじかにじーんとダメージが来るような感じで、ホントにこんなので走れるのかなと。
とは言え、走ってみないことには始まらないわけで、釧路の誇る巨大体育館「湿原の風アリーナ」のランニングコースで「MUTEKI」の威力を試してみました。
《最初の2km》
ドタドタする感じで、シューズからの反発力は全くなく、「なんてひどいシューズなんだ!無敵どころが、ちょっと小太りのおばはんにも負けているレベルじゃないか!足の裏も猛烈に痛いし最悪だ!」
キロ6分を超えるペースでしか走れず、こんなんで走ったら辛いだけで、すぐ怪我するなあぐらいにしか思わんかった。
まあ、いかに普段シューズの力でラクに走れているのかと痛感しましたね。
シューズの反発力は偉大です。
《5kmぐらいから》
苦痛に顔をゆがめながら走っていましたが、5kmぐらいから痛さが麻痺してきたのか、そこそこ走れるようになってきましたね。
「かかと着地」と「拇指球で蹴る」ということをしないで、「足裏全体を使う」ことを心がければ、そんなに痛くないかなあと。
《8km過ぎから》
ようやくこのシューズのよさがわかってきた!
ポイントは
足のアーチを最大限に利用すること
である。
この感覚を言語化するのは難しいのだが、着地するときに「足のアーチのふくらみを感じる」ことが肝なのである。
すると「ポーン、ポーン」と足裏全体でバネを感じるように走ることができ、ストライドも広く取れて、キロ5分ペースで軽やかに走れるようになりました。
「無敵」までは行かないが、普通のシューズと遜色のない走りができるんじゃないか!
見直したぞ「MUTEKI」!
みやすのんき先生の本や、ゼロベースランニングで書かれていた足のアーチの「トラス機構」「ウインドラス機構」の偉大さがおぼろげながらわかってきたのであった。
本を読んだときは、正直何のことかさっぱりイメージがつかめなかったんだがな。
偉大だ!偉大すぎるぞ、ヒトの足が本来備えもったウインドラス機構よ!
※ ここで間違ったことは書きたくないし、本の引用をするのもめんどいので、「トラス機構」「ウインドラス機構」については、本を読むなり検索するなりして調べてください。あしからず。
んなわけで、最初はかなり苦痛でしたが、最後はシューズにも慣れてきて、なんとか10kmを走りきることができました。
足裏感覚を磨くには、これ以上の教材はないんじゃないでしょうか。
変な走り方をすると足裏が痛くてやってられんわけだから、いやでも痛くない走り方を身につけようとすることでしょう。
ただ、こいつを常用したいかと言えば「うーん」ですね。
体育館とかの室内を走るにはいいかもしれんが、これで細かい凹凸を拾う外は走りたくない。
あと、上にも書いたが、シューズの厚みがなく、足の甲の部分がキツい。
甲の部分だけではなく、指の部分もキツく感じ、9km過ぎた辺りから圧迫された親指の爪が痛くなってきた。
これで長距離走ったら、爪が持たんなあと。
もうワンサイズ大きいのにすれば解決するような気もするが、指先の部分は長さ的には少し余裕があるので、これはシューズそのものの構造的な問題なのかもしれない。
一回履いただけで評価をくだすのもなんなので、もうちょい使い込んでみて、どのように走りに変化が見られるのか、故障はしないのかということを検討していきたいと思います。
まあ、値段も5000円ちょっとと高いものではないので、ベアフットランニングに興味を持っている方は、一度どんなもんか試してみるのもいいんじゃないでしょうか?
ごきげんよう。