その1
そんなわけで、雨の中、久米島をテロテロとブロンプトンで走りまくることにします。
こんなこともあろうかと、コンビニか100円ショップで買ったかは忘れたが
ショボイかっぱを持ってきています。
かっぱを装着したが、自転車で走っているとフードの部分がすぐ脱げてしまう。
最初のうちは、脱げるたんびにフードを頭にかぶせていたが
そのうち面倒になったので、頭はもう濡れてもいいということにした。
まあ、帽子もかぶっているし、別に問題ないだろう。
それにしても、外は真っ暗で、雨はザーザー降っている。
こんな中、自転車を走らせて何が楽しいんだ?
ちょっとブルーな気分になってきたので、周りに人もいないし、元気をつけるために
「こんな雨、望むところだ!」
とかなり大きな声で叫んだ。
ブルーな気分は吹き飛び、なんだか楽しくなってきた。
やっぱり、オレアホだ。
気象条件が悪いと路面が見づらいですね。
歩道は狭くガタガタで自転車で走れたものじゃないし
車道の端っこは、水たまりでジャブンジャブンの状態だったので
男らしく堂々と車道の真ん中を走った。
まー、交通量もゼロに近いし、いいでしょう。
にしても、前が見えない。見えなさ過ぎる。
これは一体どういう超常現象なんだ。
どうも、妙に目の辺りが軽い感じがすると思ったら
眼鏡をかけわすれていた。
私は裸眼での視力は0.04なわけで、すべてがボヤけて見える。
せっかく久米島まで来たのに、久米の景色を目に焼き付けることができず、遺憾である。
でも、ホテル戻って、眼鏡取りに戻るのも面倒だし、先に進んでしまおう。
景色なんてどうでもいいのです。
ただ、知らないところを自転車で走れれば、私はそれで幸せなのです。
県道89号線という道をテロテロと進みます。
北海道民としては「県道」という言葉に違和感があるのね。
北海道では「道道(どうどう)」なのだ。
改めて文字にすると、「どうどう」と馬をてなずけるような間抜けな道に感じる。
空は少し明るくなってきた。
明るくなってきたところで野球場が見えた。
おお、ここで楽天の選手は練習していたのですか!
田中マー君が、岩隈がここで練習していたんだ!と思うとテンションが上がるが
当然、こんな時期、こんな時間に誰もいるわけはない。
球場が見えたのはいいのだが、昨日の計画によると、球場があるということは・・・
すなわち、道を間違えたことを意味するのであった。
このまま行くと、空港まで行ってしまい、本格的な迷子になってしまう。
今回はデカイ通りをぐるっと回るだけだから、道に迷わないと思ったけど
さすがオレだ。
やっぱり、道を間違える運命の元に生まれたのだ。
ということで、道を戻ります。
戻ったところで標識があったのだが、視力0.04状態では看板の字は全く読めないので
デジカメで標識を撮影して、文字を確認する戦法をとることにした。
なんか、どれも同じような地名で、どこに行けばいいのかさっぱりわからない。
そういえば、前の会社の研修で、沖縄出身の仲村君という人と、ちょっと仲良くなったので
ここは左へ進むことにしよう。
いいのか?そんないい加減な決め方で?
県道242号線。一緒に写っている建物は、久米島の町役場。
お、昨日の予習の段階では、確かこんな道を通るような気がした。
よくわからんが、行っちゃえ!行っちゃえ!
自販機があったので、アクエリアスを補給。
これは私だけの発見であるが、久米島の自販機はみんなコカコーラの自販機だ。
久米島の特徴としては、平らな道がほとんどないということだ。
上り坂か下り坂のどっちかで、その中間がない。
3段変速のブロンプトンでは、かなり苦戦を強いられる。
とはいっても、ここまで行ったら文句言わずに、黙って上るしかないのね。
おー、神社だ。願い事をしよう。
「早く上り坂が終わって、雨がやみますよーに」
もっとましな願い事はないのか?
なんとなく沖縄っぽい家。これなら台風が来ても大丈夫そうな気がする。根拠はないが。
写真の辺りのところで、黒糖の甘いにおいがした。
多分、近くに黒糖工場があるのだと思うが、特に確認はしなかった。
よくわからんところで、なんとなく沖縄っぽい雰囲気を味わえるだけで、私は満足なのであった。
熱帯魚の家。
うーむ、こっから1.7kmも遠回りしたくない。
どんな家か気になるところだが、行くのはやめることにしよう。
どーせ、こんな時間に行っても開いてないし。
民家は一軒もなくなり、上り坂は強烈になる。
久米島と言うと、はての浜に代表される美しい海岸というイメージがあるが
そんなイメージは間違っている。
真の久米島は山を堪能するところなのである。
実際に山道を体験した私が言うことだから間違いない。
ぜーぜー、苦しー。
自転車を押して歩く人になる。
他のツアー客がのうのうと寝ている中で、なぜ私一人だけこんなに苦労しなければならないのだ!
しかし、苦しみながら、雨の中、自転車を押していると
「あー、やっぱりこれがオレのチャリ旅なんだなあ」
「こんなところまで来ても、やっていることは普段と全く変わらないなあ」
と、なんだかうれしくなってくる。
私は真性のMなのかもしれない。
坂を上りきったところで、展望台らしきとこ発見。
展望台から、うみー。天気がよければよかったんだけどね。
現在地を確認。どうやら道を間違ってはいないようだ。
ここは、比屋定バンダというところです。
最初、「パンダなんてどこにもいねーじゃねーかよ」と思ったが
「パンダ」ではなくて
「バンダ」なのである。
バンダの意味は調べようとしたが、よくわからん。
比屋定バンダを過ぎたら、あとは下りで楽チンでしたね。
沖縄っぽいバス待合所。
でもって、しばらく行くと
昨日レンタカーで通った見慣れた道になったので、もう大丈夫でしたね。
ここで、ツアー同行者の一人から
「LANケーブルを貸してくれ」
というメールが来たので
「あと15分ぐらいで着く」と返信。
しかし、この15分が長かった・・・。
なんと、ホテルに行く道を通り過ぎて
久米島二周目に入っていたのであった。
さすが、オレだ。まるで方向感覚がなっていない。
ただね、言い訳すると
眼鏡かけてなかったから、標識の「イーフビーチ」という文字が見えなかったからなんだよ。
眼鏡さえかけていれば、真っ直ぐホテルに行くことができたのだよ。
そんな言い訳は、まあいい。
とにかくメールが来てから、30分ぐらいかけて、ようやくホテルに着いたのだ。
同室者のY君に部屋を開けてもらおうと、ドアをノックする。
反応がない・・・・・・。
Y君のケータイにTELするも、つながらず。
どーなってるんだ。嫌がらせか。
とにもかくにも、部屋のドアが開かないことにはどうしようもない。
全身ずぶ濡れの情けない格好のままで、Y君から何らかの反応が来るのを待とう。
私待つわ。いつまでも待つわ。
Y君が部屋のドアを開けてくれるまで。
それにしても、私はひどい格好をしている。
こんな姿を誰にも見られたくないというところで、隣の部屋のドアが開いて
ツアー同行者のP嬢とM嬢が出てきた。
P嬢とM嬢は何か見てはいけないものを見るかのように、私を観察していた。
なんというか、道の真ん中で下半身を露出する変質者を見るような目つきで
私を見ていた(ような気がする)。
私は自分が世界一のバカなんじゃないかと思った。
そんなわけで、うら若き乙女たちにみっともない姿をさらしてしまい、やってられなかったのであるが
そんなの関係ねぇ、でも、そんなの関係ねぇ
ということで、今回の日記をオッパッピー。
(一応、Y君の名誉のために説明しておくと、ちょうど私がホテルに帰ってきたとき、彼はシャワーを浴びていて、頭を洗っているのっぴきならない状況下にあったわけであって、別に私に嫌がらせをしているわけではなかったということを強く主張しておきます)