とにかく限界に挑戦してみる(その9 エピローグ)
足掛け17時間半の、長い長い自転車の旅もついに終止符を打ちました。
チャリはパッキングします。
一応、駅員はいるのであるが、16:40で窓口は閉まっていた。
切符は車内で買えってことだね。
音威子府と言えば、駅そばでちょっと有名なのであるが、これもすでに閉まっていた。
オレはそんなに食い物に対する執着は強くないので、別にいいです。
スーパー宗谷の到着時間まで約2時間、ひたすらヒマ。
と言っても、駅のベンチで目を閉じると、速攻で眠りの世界にいざなわれたので、退屈感はそうでもない。
そういえば、寝ないで夜通しチャリで走ってきたんだっけな。
寝ているのか起きているのかよくわからんモーローとした状態で、気がつけば、発車10分前だ。
チャリを抱えて、ホームに行くか。
寒い。ものすごく寒い。
さすが、道北だ。
七分丈のサイクルパンツでは足元がスースーするので、
サイクリング時にはまるで出番のなかった、レッグウォーマーを装着する。
列車は時間どおりに来ました。
運良く、自由席の一番前が空いていたので、袋に入ったチャリを壁に立てかけて、二人分の席を占領した。
すぐに車掌がやってきて、札幌までの切符を購入(7240円)。
あとはひたすら泥のように寝ていた。
せめて塩狩峠のところぐらいは目を開けていたいと思ったが、気がつけば旭川に着いていた。
旭川でアホみたいにどかどかと客が乗り込んできたので、
さすがに、一人で二席分占領するのも悪いと思い、チャリと共にデッキに避難した。
車窓から、夜の景色を眺める。
「ああ、オレはこの道をずっとチャリで走ってきたんだなあ・・・。
アホだなあ・・・」
と、しみじみ感無量であった。
17時間半かけてやってきた道のりも、列車だと、ものの3時間であった。
札幌に到着し、チャリを組み立て家に帰り、再び泥のように眠りこけた。
翌日。
自分へのご褒美として、モエレ沼の健康ランドで気が狂ったようにダラダラしていた。
風呂、メシ、寝る。
あー、怠惰な生活バンザイ!
もちろん、気が狂ったような自転車旅があってこそ、この怠惰さをありがたく感じることができるのであった。
≪オレのチャリスタイル≫
基本、ひとりで走っている
基本、誰とも会話しない
メシはほとんどコンビニだ
有名な観光地はスルーする
観光地は嫌いだが、誰もいない無人駅が大好きだ
とにかく苦しそうに走っている
・・・でも、・・・でも、それが最高に楽しいんだ!
誰が何と言おうが、やっぱりオレのチャリスタイルはこれなのだ。
FELLEOを買って2ヶ月、いろいろと紆余曲折があったわけであったが、
今回の行程を通じて、やっとロードバイクと友達になれたような気がした。
人間の喜びはグルメとか温泉とかそんなものではないのである。
人間は限界を打ち破ることを喜びながら生きていく動物である
(斎藤一人「変な人の書いた成功法則」より)
限界まで行った今、更なる限界を目指して、更なる喜びを味わいたいと思うわけであった。
この感動を多くの人に伝えるべく、職場の同僚に
「オレ、チャリで音威子府まで行ってきたさ」
と自慢しようとしたところ、
「で、どこ?そこ?」
と、極めてそっけない反応をされてしまった。
感動を人に伝えることは難しいと、つくづく痛感したわけであった。
今度は函館とか帯広とか、もうちょっとメジャーなところに行こうと思いつつ、今回の日記を終わる。
(このシリーズ終わり)
by gossy54200 | 2010-09-26 17:09 | ロード