2011オホーツクサイクリング(その5)
しかし、私だけは断じて例外だと思っていた。
卒業式とかで、メソメソしている女を見ると
「テメーら、そんなくだらねえことで泣くんじゃねえよ」と
ついつい蹴りを入れてやりたくなる衝動に駆られてしまう。
泣けばなんでも許されると思っている、そんな女がイヤでたまらなかった。
「私は、そんな泣く女をチヤホヤする人間にはならねえぞ。ああ、ならないさ」
と、心に誓い、三十数年間を生きてきた。
ところが、現実に私の目の前で泣いている女性を見て
今までの三十数年間は間違っていたということに気づいた。
いいではないか、女の涙。
女の涙は美しい。
このシチュエーションで、何も感じないような奴はクズだ。男のクズである。
炎天下の中、ひとり坂の上で、数十分も私を待ってくれたMC嬢のことを思うと、グッと来るものがある。
(別にMC嬢は私だけを待っていたわけではないと思うのだが、男というものは何でも自分の都合のよいように考える生き物なのである)
たかが、サイクルイベントで自転車を漕いで現れただけの私に対して
こんなに歓迎の意を表してくれる女性をほっといていいのだろうか?
いや、いいわけがない。
何だか、自転車がどうでもよくなってきた・・・。
もう、いいんじゃねえか?
このまま棄権しようぜ。
これから、まだ100km以上も自転車で走るよりも
二人でご飯とか食べに行った方が、絶対面白いよなあ・・・。
我が内なるデーモンがささやく。
しかし、冷静に考えよう。
自分の服装を見直してみろ。
変なヘルメットをかぶって、ピチピチのタイツを履いて
どう考えても、女性を口説くような服装ではない。
おお、何たることだ。
あらかじめ、こういう展開になることが分かっていたら、もっとマシな格好で自転車に乗ったのに。
自転車に乗るときの快適性だけを考えて、見た目のことは全く考えていなかったのであった。
正に、お呼びじゃねーよ、おととい来やがれ!ってな感じだ。
自分のマヌケな服装を見れば見るほど、MC嬢に対する思いはどうでもいいものになり
やっぱり、私にとってはMC嬢よりもブロンプトンが大事なのであった。
ああ、そうさ、俺は自転車バカなのさ。
女性よりも自転車が大事な野郎なのさ。
別れ際に、MC嬢が撮影してくれた私の写真。
さりげなく後ろ姿も撮られていた。
うむ、どう考えても、この服装は愛を語る格好ではないな。
しかし、間違いなく今回の再会で
私とMC嬢との関係は「赤の他人以上友達未満」から「友達」に格上げされたのであった。
今となっては、約5分ぐらいの間、何を話したかもさっぱり覚えてないけど
非常に楽しい時間を過ごさせてもらったよ。
ありがとうMC嬢。
今度は自転車とは関係なく、もうちょっとまともな服装で遊びに行くよ。
非常に後ろ髪を引かれる思いなのであるが
最後尾のサイクリストの集団が近づいてきたので、私はそろそろ去らねばならぬ。
さようなら。
さようなら、MC嬢。
今回、MC嬢に会えて、本当に嬉しかったよ。
ものすごく元気が出たよ。
これからきっと、斜里までの道のりをちっこい自転車で頑張ることができるよ。
近況報告も何もできなかったけど、元気でねMC嬢。
また、オホーツクの地で、必ず会おう(^- ^)/
再び、サドルにまたがって、前の集団に追いつくべく、猛スピードで自転車を漕ぎ出した。
あえて、後ろは振り向かなかった。
寂しさも感じるが、自転車乗りは前だけを向いて走る生き物なのだ。
MC嬢の応援を背に、私のオホーツクサイクリングはまだまだ続く。
(つづく)
by gossy54200 | 2011-07-15 23:59 | ブロンプトン