三弦橋まで(その3)

そんなわけで、「三弦橋まで」の幕が開かれました。
(どんなわけかは、その1その2を参照してください)

物語はこんな感じです。
(以下、パンフレット丸写し)

26歳の佐和子は誕生日になると暗い顔をする康雄がわからない。
その康夫も認知症になって記憶が消えていく。
夕張の話を避ける久美子。
康雄が呟く「きんちゃん、千代ちゃん」・・・お父さん。一体、夕張で何があったの・・・
シューパロダムが完成すると水没する三弦橋・・・康雄の記憶が完全に無くならない内に・・・
いま、家族の記憶の旅が・・・三弦橋までの旅が始まる・・・
三弦橋まで・・・行かなきゃなあ・・・ユウパリコザクラ・・・綺麗だな・・・


夕張の炭鉱事故で仲間を失い、逃げるように夕張を去った一家が、再び夕張の地に戻り、逃げていた昔の記憶から立ち向かう・・・

まあ、平たく言えば、こんな内容です。

ああ、自分もいろんなものから逃げて、ここまで生きてきたなあ。
このまま逃げっぱなしでいいのだろうか?
やはり、どこかで逃げてきたものに対して、立ち向かわなければならんのではないだろうか?
そうだ!逃げちゃダメだ!
過去に蓋をするのではなく、過去を受け入れながら前に進んでいくのだ!

いやあ、素晴らしい劇だった。
感動をありがとう。

と、確かに劇が終わったときは思ったが、もうそんなことは忘れた。
しかし、小説を活字で読んでいるだけでは伝わらない、真に迫ったものをひしひしと感じたのであった。
たまには、演劇もいいものだ。
映画やドラマでは味わえない、ライブ感をどっぷりと味わえたのであった。
だからと言って、今後、演劇鑑賞を趣味にしようなどということはないと思うが。


さて、札幌に帰るかと、千歳行きの普通列車に乗り込んだが、どういうわけか私は途中の清水沢駅で降りた。
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今年の空知地方の雪は尋常じゃないなあ。もうすぐ4月だろ。
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何故、私はわざわざ清水沢で下車したのかというと、清水沢駅舎内で、こういう写真展が開かれていたからだ。
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実際に劇の舞台となった「三弦橋」の写真を見て、更に劇の感動を深めようという作戦だ。
よーし、隅々まで写真を見てやるぞー。

写真展というからには、所狭しと、パネルが何枚もあって、何百枚も三弦橋の写真があるのを想像していたのだが・・・
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これが写真展のすべてであった。
オイオイ、こんなショボ・・・いやシンプルな写真展だったのか。
わざわざ途中下車までして見る価値はあったのだろうか。

さて、写真。
これが美しい。
ものすごく美しい。
ひたすら美しい。

でも、何かが違うんだ・・・。
私が求めているものとは、何か違うんだ・・・。
何というか、夕張の持つ影というか、炭鉱があったころの面影というか、かつての人の賑わいというか・・・
うまく言えないのだが、そう言った夕張の躍動感というのが感じらない。
ただ、綺麗なんだ。
闇も何もない、純度100%の綺麗さなんだ。

劇を見た後だから、余計そう感じたのかもしれないが、劇の中に出てくる「三弦橋」と、この写真の中の「三弦橋」が全く別物のような気がした。
この橋の持つ「はかなさ」が感じられないような・・・。
この橋の持つ「いとおしさ」が感じられないような・・・。
この橋が水没していく「無念さ」が感じられないような・・・。

美しいんだけど、これは真の「三弦橋」ではないのではないか?
素人の私が好き勝手なことを言って、写真を撮った方には非常に申し訳ないのだが、ちょっと違和感を持った、そんな写真展であった。

当初の予定ではブロンプトン持参で、劇を見た後、実際に南大夕張まで自転車を走らせて、この目で三弦橋を見る予定だったのだが、この天気では仕方がない。

春になったら、自転車で三弦橋を見に行こう。
ユウパリコザクラを見に行こう。
そして、清水沢駅の写真展は5月末まで開かれているので、もう一回写真展を見に行こう。
実際に三弦橋を見た後に、もう一度写真を見ると、また違った視点から見れるかもしれない。
春の夕張が楽しみだ。

春の夕張は楽しみなのであるが、そのときの私は、写真をものの1分ぐらいで見終え、この雪深く何もない清水沢で、どうやって次の列車が来るまでの2時間を過ごそうかということで頭がいっぱいなのであった。

(つづく)
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by gossy54200 | 2012-03-28 21:51 | 日記 | Comments(6)  

Commented by waltz_t at 2012-03-29 00:07
夕張、雪すごいっすね。
もう4月だってのに、ため息しか出てこない・・・・

Commented by gossy54200 at 2012-03-29 06:20
岩見沢でも大分溶け始めてきたというのに、こんなに雪があるなんてビックリでした。
げんなりですねぇ・・・。

ちなみに写真展はbeniさんの作品です。
Commented by pen at 2012-03-29 09:08 x
いい旅ですね。 ごしさんの感じ方は、結構シンクロできるところ
が多くて、もうね、私も三弦橋を見てきたんだ、くらいの
まちがった記憶刷り込みがされそうですw
 要はとってもいいレポートありがとうございます。
Commented by おかず汁粉 at 2012-03-29 14:46 x
ごしさん・・・暫く篭られているうちにオチのキレが冴えてきていますね。いい感じ(?)です。
三弦橋、以前私が大夕張を見にいったのは夜だったのでまったく真っ暗だったのですが、雪が融けたらもう一度見に行ってみたいです。
夕張にある建造物や風景の、あの「儚さ」や「無念さ」って、やはり機械のレンズを通してしまうと薄れてしまうものがあるんじゃないのかなぁと思ったりします。
やはりその感覚って「生身のレンズ(すなわち人間の目)」を通してこそより色濃く感じられるものなのかと。
Commented by gossy54200 at 2012-03-29 21:02
>penさん

ご感想ありがとうございます。
三弦橋は札幌からだと自転車で80kmぐらいですので、十分に行ける距離だと思います。
見られるのは今年で最後ですので、是非是非一度見ていただければと思います。
Commented by gossy54200 at 2012-03-29 21:04
>おかず汁粉さん

もう旧道から三弦橋を見ることができないのは残念ですが、新道からの眺めはどんな感じなのでしょうかね?
新道から三弦橋を見られるのは、今年1年限定ですので、何としても見に行きたいものです。
あの儚さは、肉眼でこそ色濃く感じられるというご意見に激しく同意です。
どうも写真だと「作られた」感じがしたのですよね。

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