ブロンプトンで行く道道740号線(その8 大成編 富磯~終点)

プロローグ その1
北檜山編 その2 その3 その4 その5
大成編 その6 その7

一体、この道はどこまで続いているのだろうか。
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どこまでもこの道は続いて欲しい。
このまま永遠に走り続けたい。
この道はあまりに鮮やか過ぎて、車で通り抜けるには勿体ない。
自転車だからこそ味わえる、この贅沢。

ただ、理想を言えば、こういう道はブロンプトンには似合わないような気がする。
確かにブロンは機能的であるが、所詮は都会的なオシャレ自転車であって、この風景にはそぐわない。

やっぱり、こういう道にはランドナーやスポルティーフだよなあ。
ダブルレバーの昔ながらのツーリング用自転車で、こういう風景を思う存分味わいたい。
この道を走るのにスピードは必要ない。
のんびり走ることこそ正義。

自転車の醍醐味は、100km以上走ったとか、手稲山を何分で上れたとか、そういうことではない。
もちろん、そういう楽しみ方は否定しないが、それだけでは味気ない。
ただ、遠くに行って、知らない風景を楽しみ、知らないものにふれる、これこそが自転車の原点。
忘れかけていた「本来の自転車の楽しみ」を思い出させてくれるような道道740号線であった。

いい感じの覆道が見えてきました。
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近づいてみます。
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残念ながら、この覆道は現在使われていない旧道のもので、立ち入ることはできない。
しかし、ほんの10年くらい前までは、この断崖絶壁の崖の下の道が現役バリバリで働いていたのだ。

この旧道がなかなかクセモノの道で、高波や落石のためしばしば通行止めになる道なのであった。
そんでもって、この道が通行止めになると、太田地区の住民は北に行けば工事中の道で行き止まり、南に行けば災害のため通行止めと、どっちにも進むことができず、まさに太田は「陸の孤島」となった。

「陸の孤島」を回避するために、2004年に「帆越山トンネル」が開通した。
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ヨソからやってきた一自転車乗りの意見としては、味気のないトンネルよりも、険しい自然の風景を楽しめる旧道を行きたいのもやまやまであるが、このトンネルは太田地区の住民にとっては、他の地域との交流を保つ「命綱」なのであった。

安全に太田地区に行けることをありがたく思いながら、暗闇のトンネルを進みます。
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距離にして1857m。
果たしてこんな約2kmのトンネルによって隔たれた太田地区というのは、どんなところなんだろう?
太田地区の住民には失礼な話だが、正直、こんなところに人が住んでいるなんて信じられない。

トンネルを抜けると、そこは空気の流れが今までとは違う、別世界のようだった。
風景はトンネルの前と大して変わらんが、それでも別世界なのだった。
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まんが日本昔ばなしに出てくるような、懐かしいような世界。
海岸では子供たちが亀をいじめ、浦島太郎がやってきて、おじいさんは山へ芝刈りに、おばあさんは川へ洗濯をしていたら、おむすびがコロコロ転がって穴の中に入ってしまい、穴からおむすびを取ろうとしたら、「あなたが落としたおむすびはこちらの金のおむすびですか」とか女神に尋ねられそうな、そんな不思議な世界。

太田神社。
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この神社、秘境マニアには有名な神社で、本殿まではめちゃくちゃ急な階段を上ったり、リポビタンDのCMばりにロープにつかまりながら進まなければならないところもあり、参拝に行くというよりは、もはやアスレチック、いや登山の世界なのである。
こんなところに来てまで、なんでSASUKEの世界を味わなければならんのかと。

怪我しても当局は一切責任を持ちませんの表示。
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私は自転車に乗りに来たのであって、別に自分の限界に挑戦する気はサラサラないので、今回は太田神社については速やかにお引取り願うことにした。
さようなら、太田神社。
多分、私は一生本殿に行くことはないと思う。

太田の集落が現れた。
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周辺地域と隔絶されている太田の人々は、何を思いながら生活しているのだろうか。
ここに来ると、北檜山の中心部がすげー便利なところのように思えてくる。
北檜山のAコープは冬になると6時で閉まるとかそういうことは、この地域に生活することに比べると、全く些細な問題なのであった。

一応、バスは通っているのね。
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時刻表。
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…………………………。

北檜山のときのように、バスで帰ることは不可能なのであった。
ここまで来たら、覚悟を決めて、帰りも自走せなあかんのや。
最終バス(兼始発)が朝の6時台ってどういうことやねん!

そして、バス停から100mぐらい進むと。
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そこは通行止めであった。

この先のトンネルは完成されているようだが、一体いつになったら通れるようになることやら。
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道道740号が全面開通して欲しいという気持ち半分、このままの袋小路の太田地区であり続けていて欲しい気持ち半分。

これで行き止まりだからこそ、道道740号線は魅力的な道路なのかもしれない……。
この閉ざされた空間が、道道740号線の最大の魅力なのかもしれない……。

(次回、最終回につづく)
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by gossy54200 | 2012-06-07 22:37 | ブロンプトン | Comments(2)  

Commented by waltz_t at 2012-06-07 22:52
かの有名な太田神社、Gossy's blogで見れてすげー幸せです。
地に足がついた紹介でわかりやすくて、そっかぁ、これが太田かぁという感じです。
ついでに、どーすっかなぁ(何を?)って感じです。

バス停も凄まじいですね。
本気出したら鉄道よりバスの方がすごいような。
意味不明な例えではありますが。
Commented by gossy54200 at 2012-06-07 23:55
太田神社のせめて階段ぐらいは登りたかったのですが、時間の都合で行けず残念でした。
もっと深く探検したかったのですがね。
北檜山側の太櫓や新成もディープなところでしたが、太田はその5倍ぐらいすごいところです。
心底、来てよかったと思いました。
特に何かをしたわけではないのですが。

さて、太田のバス停。
本文にはあえて書きませんでしたが、函館バスのHPをチェックすると、太田のバス停の時刻表はバスの発着時間が一切書かれていなく空欄になっているのですよね。
写真には写っていませんが、この時刻表も平成22年のものですし、ひょっとしたら現在このバス停は使われていないのかもしれません。
まあ、ここに住んでいる人はみんな車を持っていて、バスなんか使うことはないんでしょうね。

鉄道も通らないようなローカルなバス路線は、ある意味「白滝シリーズ」よりディープな世界なのかもしれません。

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