人生を<半分>降りる

中島義道さんのこのタイトルの本がえらくお気に入りでして。

人生を「半分」降りる―哲学的生き方のすすめ (ちくま文庫)

中島 義道 / 筑摩書房



30代に入った辺りからうすうす考えてはいたのですよ。
30も過ぎると大体の自分の能力はわかってくるし、世の中の仕組みもわかってくる。
20代のうちはがむしゃらに突っ走れたことができなくなってくる。
それは能力的な問題ももちろんあるし、ある程度世の中を知って「これ以上頑張っても無駄だ」と突っ走るモチベーションが失われていくのもある。

ただ、真面目な私がその考えにストップをかけたりする。
「いやいや、これは逃げだろう。報われる報われないに関わらず、目の前のことを一所懸命にやらんかい」と。

んなわけで、物事を真剣にやるわけでもなく、かと言って人生を悟りきって流しモードに入るわけでもなく、中途半端だなあという日々がいたずらに過ぎていく。
何に行き詰まっているわけでもないのだが、何かに行き詰まっているような。
奥歯に挟まったものがいつまで経っても取れないような。
タンスの後ろに五円玉が転がり込んで取れなくなってしまったような。

こういう中途半端な状態を過ごすのも、精神衛生上よくなさそうだ。
そんなわけで、30代半ばのある日、自分の中で40をタイムリミットに「人生を<半分>降りる」計画を実行することに決めたのである。
もし、40になって結婚して家庭を構えることがなかったら、半隠遁生活を送ろうではないかと。

幸か不幸か40になるまでも浮いた話ひとつあるわけでなく、いや、正直に言うと、半隠遁生活を実行するためにあえて自分の潜在意識の内で浮いた話から自ら遠ざかるように行動していたのかもしれない。
この人はよさそうだなあという女性がいると、これは自分の精神衛生上毒だと、初めからいなかったものとみなし、自分の中の世界を掘り下げるように進んでいくことに重きを置いていくのであった。
半隠遁生活に邪魔なものは視界から極力遠ざけるようにしていった。

もちろん、このような行動に至った理由には、自ら持っているキョーレツな劣等感もあるし、子供のように未熟な私の人格的問題にもあると思うが、その辺の考察はどうでもいい。
とにかく、四十路を迎え「人生を<半分>降りる」計画を実行することに決めたのである。

「人生を<半分>降りる」ために、私が重視したことは以下の2点である。

1.ひとりでできる仕事を選ぶ
2.生活環境は都会過ぎず、田舎過ぎず


《ひとりでできる仕事》

一番最初に就いた仕事で、私が悟ったことは「協調性を持って付和雷同的に行動していくことは、私にはできない」ということであった。
元々そのような能力に欠けていることは学生時代から自覚はしていたが、ここまで社会性がないとはと自分でもビックリするぐらい、職場や寮生活に馴染むことができなかった。
さすがに当時に比べると、意のままならないことに対して、笑顔で軽くかわす技術は身につけたつもりであるが、やはり納得いかないことは、嫌々やったり、最悪「やったふり」をするところは当時から変わらない。
そんなわけで、私は最初の転職時に「最終的にひとりでできる技術的な仕事」をやっていこうと決めた。
その後も、転々と職を変え続けていくわけだが、重視することは給与や休みややりがいよりも「いかに自分の空間を手に入れることができるかどうか」ということであった。


《都会過ぎず田舎過ぎずの生活環境》

夏目漱石の「草枕」の冒頭より

智(ち)に働けば角(かど)が立つ。情に棹(さお)させば流される。意地を通せば窮屈だ。とかくに人の世は住みにくい。

どうも都会の生活は住みにくい。
人が多くて、モノも情報も洪水のように溢れかえっていて、どれもこれも必要なのではないかと、自分の身の丈を超えるモノや情報を持ち、身動きが取れなくなってしまう。

住みにくさが高(こう)じると、安い所へ引き越したくなる

んなわけで、以前のブログにも書いたが、電撃的に田舎暮らしを始めてみたこともある。
しかし、田舎の生活は田舎の生活で、休日に知り合いに多く出会うのが落ち着かず、自分の生活が誰かに見張られているような息苦しさを感じる。

大都会も田舎も嫌だ。
自分に必要なものが、必要な程度あるぐらいのマチがちょうどいい。
人口で言うと5万~10万程度のマチが住みやすいのではないかと思ったりする。

私は都会のおしゃれな店とかネオン街とかグルメな店とか、そういうものにはあまり関心がない。
コンサートや映画を見に行くこともないので、そういった施設がなくても別にいい。
かと言って、まともな本屋まで50kmぐらい車を走らせなきゃならないようなところも面倒だ。

多分、最低限これぐらいのものがあればいいんじゃないかというものをまとめてみた。

・徒歩圏にコンビニ
・車で5分ぐらいのところにそこそこでかいスーパーとかホームセンターとか
・牛丼屋とかラーメン屋とかひとりで入りやすい食堂
・TSUTAYAクラスの本屋と図書館
・内科と整形外科のある病院
・トレーニングができる体育館
・自転車が走りやすい道路

大体このぐらいのものがあれば、少なくとも私は生活できる。
足りないものはAmazonや楽天を利用すれば、今の世の中なんとかなるし。
理想を言えば、スポーツ自転車を扱う自転車屋があればモアベターだが、まあ、そこは贅沢は言わん。


こういう環境を求め、私は電撃的に退職願を出して、新しい職場を決めた。
給料も今より低くなり、「何をやっているんだ」とか「もったいない」とか、そういった言葉もあったが、人生も折り返し地点を過ぎつつあり、ここでやりたいことをやらないと、更にもったいないことになると思った。
私に今必要なことは、真剣にかつ前向きに「人生を<半分>降りる」ことなのである。


そんなわけで、私は4月より、札幌を離れ、岩見沢で細々と暮らすことにいたしました。
玉ねぎ畑を見ながらゆるゆると自転車を漕ぐ生活を送っていきますので、今後とも、今まで同様によろしくお願いいたします。
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by gossy54200 | 2013-02-26 02:02 | 日記 | Comments(16)  

Commented by やまだ at 2013-02-26 08:59 x
ほう。いいね!シュリンクする方向で自分にあった生活を考えられる人は中々いないと思うから。離れる前に飯でも食おう。
Commented by waltz_t at 2013-02-26 12:42
岩見沢を拠点にしたら、走る場所なども変わってきますね。
今後もゴシさんのサイクリングライフが楽しみだ
Commented by gossy54200 at 2013-02-26 20:28
>やまださん

シュリンクな方向で行こうというのは単身者ならではの発想なのでしょうね。
色々足りないのではなくて、多すぎると思うのですよ。

3月は多忙なためなかなか時間が空きませんが、上旬の平日はそこそこ空いていますので是非よろしくです。
Commented by gossy54200 at 2013-02-26 20:30
>コソさん

春からは「ディープな空知」をテーマに走りたいと思います。
万字・夕張・桂沢辺りが拠点になっていくのではないでしょうか。
プリティとの再開が楽しみです。
Commented by 優游 at 2013-02-26 20:58 x
決断ですね。驚きました。gossyさんの後半の人生に幸多かれとお祈り致します。
これからは、自転車に乗ったり、走ったり、きままにさまよったりできるのでしょうか?
Commented by ゆげ at 2013-02-27 00:42 x
「ディープな空知サイクリング」の道案内人が帰省先のとなりのとなり町に誕生することを思うと、今から楽しみでたまりません(笑)

Commented by takatixyan at 2013-02-27 07:25
エイプリルフールではないので、ホントの話ですね。
私もほぼ1人で生きてます。たぶん一生独身で行くと思います。
仕事も何回も変えてます。
ということなんです。ってどういうことなんだ?って言われそうですが、
共感できます。いいですよね。本当にそう思いますよ。
Commented by pen at 2013-02-27 12:25 x
居を移すのは不安よりもわくわくのほうが大きいですよね。
これからもごしさん流、楽しみです^^
Commented by gossy54200 at 2013-02-27 23:39
>優游さん

移住先の候補として、優游さんがお住まいのところも挙がったのですが、たまに行くにはいいところでも、今から縁もゆかりもないところに住み着くのはキツイかなということで、生まれ故郷の岩見沢を選択しました。
慣れ親しんだ土地ですので、仕事のペースさえつかめれば、これまで以上に気ままにさまよえるのではないかと思います。
Commented by gossy54200 at 2013-02-27 23:42
>ゆげさん

結局、元サヤに戻るということで(笑)。
美唄我路は一度案内したいねえ。
前に車で行ったときとは、全然違うと思うぜよ。
Commented by gossy54200 at 2013-02-27 23:47
>スムースさん

そう言えば、去年のエイプリルフールに引っ掛け記事を書きましたね(あれは反省しています)。
今回は本気であります。
まあ、不退転の決意で行こうとすると、行き詰まったとき困りますので、今回も「合わなきゃそのときまでよ」程度の気持ちでボチボチやっていきたいと思います。

ちなみに今までの傾向としては、一生の仕事にするつもりでやった仕事はすぐやめてしまう結果になり、「これはつなぎ。ちょっと嫌なことあったらすぐ辞めよう」と思う仕事に限って、案外長く続いたりするものなのですよね。
私の場合、自らにプレッシャーをかけないぐらいがちょうどいいような気がすます。
Commented by gossy54200 at 2013-02-27 23:52
>penさん

これからも「オレ流」でシュールにやっていく予定ですので、よろしくお願いします。
大夕張200の試走なんかもやる予定ですので、ご期待いただければと思います。
Commented by 優游 at 2013-02-28 20:44 x
こちらも候補の一つになっていたのですね。自転車を乗るにはいいところなんですけどねえ。
適当な大きさの町がいいというのは共感できます。
なにしろTUTAYAや大きなスーパーまで冬は1時間くらいかかりますから。
Commented by touch at 2013-03-01 09:46 x
おんなじような年なのもあり、おんなじような事を考えることが最近とても多いのですが、一緒に仕事をしている67歳の先輩に「40歳?めちゃくちゃ若い!まだまだ何でもできる年です!!」と言われたことを思い出しては何かできることってあるのかなぁと思い直して踏みとどまっています。惑ってしまいますなぁ。。。
ともあれ、新たなごしさんの人生に幸あれ~。半隠遁生活を始めた途端に恋におちるとかの展開にも期待していますww
Commented by gossy54200 at 2013-03-02 00:01
>優游さん

いいところなのですよね。
海の見える温泉があったりして。

やはり気候条件が厳しかったり、中都市が遠いところがネックになってしまうのですよね。
Commented by gossy54200 at 2013-03-02 00:09
>タッチさん

そうなのです!「何でもできる年」なのです。
だからこそ、降りる方向に進もうかなと思っています。

最初の職場の選択肢として、「大組織の中の一スタッフ」「ほぼひとりで行う事務仕事」という2つがあって、性格的に事務仕事かなあと思いつつ、ついつい流されて大組織に行ってしまって、現在の私があるのですよね。

あのときの選択を後悔する気はさらさらないですが(あれはあれで今思えばいい経験)、結局、初志貫徹というかっこいいものではありませんが、あえて20年ぐらい経過した今、後者の選択肢を選んでみたいと思ったわけです。

えてして、あきらめたときに何かが成就することがあるかもしれませんが、そういう下心を持つときっと成就しないので、コメントの最後の部分については見なかったことにしますww

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