ジャストライドで見直す自転車生活

とある休日。

大型書店をうろついていたら、どことなくインパクトのある帯の本を発見した。
その帯には、前かごがついていて、ドロヨケがついていて、ハンドルはセミドロップハンドルで、30年前の子供が乗るようなスポーツ自転車のような外観のイラストが描かれていた。

そして、帯に書かれている「趣味で乗っている人たちがプロの装備を何もかも採用しているなんて、自転車界ぐらいだ、おかしいと思わないかい?」という言葉にピンと来た人は、もうすでにこの本のとりこである。
今すぐ本屋に行くか、Amazonで購入すべきである。

ジャスト・ライド──ラディカルで実践的な自転車入門 (ele-king books)

グラント・ピーターセン/Pヴァイン

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どうも自転車漫画の影響なのかどうなのかは知らんが、最近の日本のスポーツ自転車の世界では「ロードバイクこそ全て!ロードこそ正義!ロード乗りにあらずは自転車乗りにあらず!」という傾向があるような気がしてならない。

レースならまだしも、速さを争わないロングライドイベントでも、ほとんどの自転車がロードバイクだ。
「だって、長い距離を速く効率的に走るにはロードバイクが一番でしょ」というのはわかる。
しかし、「速く効率的」というのは「楽で快適」につながるのだろうか?
「速く効率的」というのは、実は「辛く不快」なのを我慢した結果得られるのではないか?

そんな疑問を持つ人の一つの答えが、この本に書かれている。

レースに出ない「アンレーサー」はプロの装備を真似する必要がないというのが、この本の趣旨だ。
ビンディングペダルなどはいらないし、ハンドルがサドルよりも低い前傾姿勢も不要だ。
ついでに言うと、レースをやらない「アンレーサー」は速く走る必要などないし、派手なサイクルウェアやピチピチのレーパンなど着用しなくてもいいのである。

ペダリングやポジションについては、「自転車の教科書」の堂城賢さんの言ってることに通じるものがありますね。
実は堂城さんはこの本をネタに指導しているんじゃないかと思ってしまうぐらいに、共通点が多い。

・引き足不要
・大きめのフレームの自転車を選べ
・軽い自転車がいいとは限らない(自転車に乗っている人の重さに比べたら、自転車の重さなど重要ではない)
・自転車以外の運動もやりなさい(自転車は不完全な運動だ)

ただ、堂城さんはなんだかんだで「速くなるためにはどうすればいいか」というレーサーの視点で、「正しい」自転車の乗り方を教えていて、それはそれで大事なことなんだけど、なんか堅苦しいような気がして、堂城さんのようなポジションで乗れないと自転車に乗る資格がないんじゃないかなあと感じ、窮屈な気分になる。

それに比べると「ジャストライド」の主張は、徹底的に「自転車などお遊びだ。楽しくやろうぜ」という姿勢が見えて、肩の力がストンと抜ける。
翻訳がクソ過ぎて、何を言ってるかわからんところも多数あるが(翻訳者が自転車乗りではなくてランナーだというのが残念だ)、一分一秒を争わない自転車乗りは、ちょっと重めでタイヤが太く、荷物もたくさん載せることができて、ドロヨケもついている実用的な自転車で、普段着でカジュアルに「楽で快適」な自転車ライフを送りましょうというコンセプトは素晴らしい。
ロードバイクは準備がめんどくさく、精神的な面でも「辛く不快」に感じるところがある。
中には「これはちょっと違うんじゃないか?」というところもあるが、そういうところは無視して、自転車は好きだけど「アンレーサー」な自分だったら、どんな自転車生活を送りたいかということを自由に考えるきっかけになる。
自転車雑誌で紹介されているような「レースでもないのに、プロの装備で自転車ツーリングをする」ことに違和感を持っている人には、間違いなくお勧めできる本だ。
乱暴な書き方になるかもしれないが、多分、レースに出ない人にとって、20万のロードバイクでできることは、ちょっと時間はかかるかもしれないが、5万のクロスバイクでも十分できることだと思う。

「アンレーサー」は「レーサー」と違って、自由な存在なのである。
そんな尾崎豊と犬井ヒロシの次に自由を求める私なのであった。

自転車 イズ フリーダム

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ごきげんよう。

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by gossy54200 | 2016-12-08 22:57 | 自転車 | Comments(5)  

Commented by DENZI at 2016-12-08 23:51 x
あー、ないですねえ。 本屋でパラパラと飛ばし読みをしましたが、苦笑いして棚に戻しました。 
私のバイブルはそこにはありません。
あたしゃレースと呼べるのは年2~3回で、それ以外は遊びですし、練習のために我慢して乗ってるワケでもございません。
でも、本気で自転車に乗りたい、となると、ロードレーサーですし、オフロードでのMTBです。
だいたい、その表紙にあるようなラデイカルで実践的な自転車に乗ってるDENZIなんて、想像するだけでキモイ(笑)
Commented by ちゃり童 at 2016-12-10 22:32 x
自転車の乗り方なんて自転車が教えてくれますよ。
乗ってるうちに判るものです。
お尻が痛くなったら骨盤を立ててサドルとの接触部分を変えればいいし。

腰が痛くなったらハンドルとの距離を詰めれば軽減することもあるし
自転車のサイズが510程度の物に130mmとかのステムってどうよ?

ドロップハンドルでもクロモリのフレームなんかだと
ゆっくり走った方が優雅に見えることもあるし
先ずはサイクルメーターを外すことから始めてください。
どれだけ気楽に乗れることか~♪
Commented by gossy54200 at 2016-12-10 22:42
>DENZIさん

タルタルーガ試乗のときと同様な、すっぱりとぶった切ったDENZIさんらしいコメントありがとうございます(笑)
DENZIさんのような本格的なサイクリストにとっては、確かに「ありえない本」でしょうね。
恐らくこの本の哲学にジャストミートするのは、南風の店主Aさんなのではないかなあと思ったりします。
まあ、自転車の楽しみ方など人それぞれですし、きちんと安全面さえ守れていれば、「かくあるべき」ってものはないのでしょうね。
Commented by gossy54200 at 2016-12-10 22:50
>ちゃり童さん

>自転車の乗り方なんて自転車が教えてくれますよ。

確かにその通りですね。
乗っていて「これは違うな」と思ったら、きっと乗り方が間違っているだけだと思います。

クロモリロードは、ケイデンス稼ぐ乗り方より、ちょっと重めのギアのゆったりケイデンスでしなりを感じながら乗るのが好きですね。

ブロンプトンはサイコン外して乗ってますけど、何にも縛られない自由な感じがしていいですね。
散歩用自転車は一台持っておくと、いい精神安定剤になります。

ちなみにワタクシ、130mmのステム持ってます(汗)。
見た瞬間「これは無理だ」と使ってはいませんが…。
Commented at 2016-12-13 22:44 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。

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