10万円以上の高いものを買うときに必要なものは、「ノリと勢い」である。
車でもパソコンでも何でもいいが、いざ、高いものを買おうと決めたとき、最初のうちは「高い買い物で失敗するわけにはいかない。カタログをしっかり見て、価格.comもチェックして、色んな角度から検討して、妥協せず自分の満足できる最高のものを買うのだ」とやる気まんまんでスタートする。
しかし、色んなディーラーで車を試乗したり、あちこちの電器屋でパソコンを見ているうちに、なんだかみんな同じように見えてしまい、最終的には、「営業の人柄がよさそうだったから」とか「電器屋の店員の気迫に負けた」とか、割合いい加減な理由で買ってきたような気がする。
まあ、それで致命的に失敗したなあと思ったことはなかったので、こんなもんでよかったのかもしれないが、今考えると、最初のうち色々と検討した時間が無駄だったなあと思わないでもない。
でも、そうやっていろいろ検討した時間が、実は買った商品を初めて目にしたときよりも幸せな時間だったのは知っている。
買い物とはそういうものだ。
さて、話は変わって、ロードバイクだ。
今年のビホロデュアスロンのバイクで惨敗した私は、実力不足を完全にバイクのせいにした。
そもそも、今のクロモリロードを買ったときは、レースに出るなどということは1%も頭になく、ひとりでのろのろとツーリングができればOKという感じで、「ロングライドで体に優しい」と言われているクロモリロードを選択したのである。
ただ、レースで使うには心もとない。
私もまだ若いことだし、クロモリのような趣味的な自転車は定年後の楽しみにとっておくことにして、もうちょっとレーシーでバリッと速く走れるバイクを持ってもいいのではないだろうか。
なんてことを色々考えて、次のバイクはアルミかカーボンだな。
予算は20万ぐらいもあればいいだろう。
それ以上のスペックのバイクを私が乗りこなせるとは思えない。
そんなこんなで、ネットで色々調べているうちにロードバイク熱はますます高まり、ちょうど別海でサブ3.5を達成したことだし、「これは自分にご褒美を与えてもいいんじゃないか」と気が大きくなっていた10月某日に、冷やかし半分で某ショップの門を叩いたのであった。
「予算20万ぐらいでアルミかカーボンの完成車」
と、店主に希望を伝えたところ
「20万ぐらいなら絶対カーボンです!」
と、即答されてしまったので、「やっぱカーボンか、うんカーボンだよな」と単純な私はすっかり洗脳されてしまったのだ。
で、店主と共にメリダのカタログ見ながら、あーだこーだと色々話をしているうちに別の客がやってきた。
その客は、今にでも欲しいという勢いで、「ロードバイクが欲しい!」と高らかに宣言した。
その方(面倒なので以下Aさんとしときます)は、クロスバイクで自転車の道に入って、「よーし、次はロードだ!」と、恐らく自転車が一番面白く感じる絶頂期を迎えている。
完全に勢いが、冷やかし半分の私と違う。
カタログを見ながら、Aさんは「スクルトゥーラ700がよい」と言ってきた。
スクルトゥーラ700は、20万ぐらいのアルミバイクで、バーレーンカラーがかっこよい。
※ バーレーンカラーはヨーロッパのロードチーム「バーレーンメリダ」が採用しているカラーで、
こんなのです。
私も調子を合わせて、「バーレーンカラーがいいですよね」と言ったら、Aさんは、「いや、バーレーンカラーはあんまり好きじゃないんだ」と答えてきて、しまった、余計なことを言ってしまったと、狼狽した。
明らかにロードに対する熱が私と違うAさんに、余計なことは言わないようにしようと、私は貝になる決心をした。
そっからは、会話は店主とAさんに支配されてしまい、私が入る余地はなかった。
店主はAさんに、私に言ったときと同様に
「この価格帯でアルミを買うぐらいだったら、カーボンのスクルトゥーラ4000を勧めます」
と言ってきた。
「そして、今は2017年版の在庫を処分している時期ですから、新しい2018年版よりも、2017年版の方がお得ですよ。2017年版だったらこのくらいの価格で買うことができますよ」
と、完全にセールストークになった。
しかし、購買意欲がマックスに達しているAさんにとって、この提案は渡りに船だったのだろう。
即座に、「じゃあ、このくらいのサイズでメーカーに在庫があるか確認してください」と、100%買う気になっていたのであった。
そのとき、私は遅れをとってはならないと、どういうわけか、ダチョウ倶楽部のごとく。
「じゃあ、俺も俺も!」
と、なってしまったのであった。
つくづく、買い物とは「ノリと勢い」なのである。
しかし、幸か不幸か、私が注文したサイズでは在庫がなく、店主から電話がかかってきてセカンドオピニオンが提案されたのである。
(ちなみにAさんのサイズは在庫があったようで、そのままスクルトゥーラ4000購入となったようです)
「2017のスクルトゥーラ4000は在庫がないけど、ライド3000だったら在庫がある。今ならこのくらいの値段でいいですよ」
と。
ここで私が取るべき選択は、以下の3つのうちのどれかである
1.提案通りライド3000を買う
2.2018年版のスクルトゥーラ4000を買う
3.今回は縁がなかったということで買わない
ライド3000は、一応カーボンのロードバイクなのだが、レース用のスクルトゥーラとは違って、ロングライド向けのバイクで、ハンドルが高く、若干アップライトな姿勢になる。
ブルベとかに出るんなら、ライドって選択肢もありだが、今回の目的はビホロ用のマシンと言うことで、できればレース用がよい。
しかし、提案された価格は魅力的だし、あー、どーしよーどーしよーと3日ぐらい逡巡した。
逡巡しているうちに、宮澤崇史さんの本を読んでいると
「フレームは見た目で選ぶのよい。色やデザインで選べ」
と書かれていたのにビビッと来ました。
GIOSを愛する私は、青いフレームの自転車に乗るべきなのである!
バーレーンカラーも悪くないが、バーレーンもひょっとしたら、ランプレのようにメリダから見捨てられてしまうかもしれない。
もし、そうなってしまうと、バーレーンカラーはたちまち陳腐化してしまうのではないだろうか。
ということで、フレームの色が青のライド3000を選択することにしました。
この色なら、長い間乗っても飽きないんじゃないかなあ。
買い物は、その場の「ノリと勢い」なのである。
今後のGIOS号の処遇をどうしようかと思いつつ、2018シーズンは新たにMERIDA号で、ちょろちょろと自転車遊びをすることにいたします。
ごきげんよう。