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6/23(土)夜
当初オール自走で宗谷岬を目指していた身としては、不完全燃焼と言えば不完全燃焼でありましたが、ロードバイク+輪行で稚内の地に到達いたしました。
ホテルは駅から徒歩一分のところにあったもんで、自転車組み立てるのもめんどいし、輪行袋担いだままホテルにチェックインし、そのまま部屋まで持ち込みます。
このときは、「翌日天気がよければロードバイクで宗谷岬へ!」などと思っていたのですがね。
もうすっかりヘロヘロなので、晩飯は外食しようという気にもならず、ホテルそばのセイコーマートで弁当やおやつを買い込み、部屋でむしゃむしゃ食べてました。
そんでもって飯を食ったらそのまま力尽き、気づいたら布団の中に潜んでおりました。
泥のように眠ると言うのは、正にこういうことを言うんだろうというぐらいの熟睡ぶりでした。
こんだけ夢も見ないぐらいぐっすり眠れるのは久しぶりだなあ。
6/24(日)
ついつい、日ごろの習慣で5:00には目覚めてしまいますねえ。
外を見ると、ちょっと霧雨、路面はややウェットって感じでしたので、前日ちらっと思った宗谷岬計画はやめにして、「旅ラン」として「ノシャップ岬」を目指すことにします。
ちょうど稚内の中心部から5kmぐらいのとこにノシャップ岬はあるので、ランニングにはちょうどいいのです。
わざわざビンディングシューズ使わんで、ランニングシューズ履いてきたことですしね。
有効に使わなきゃね。
さて、それでは行きましょうか。
朝の稚内は10度ぐらいと寒かったです。
もう6月も下旬なんですがね。
5:40、ノシャップ岬到着。
若干霧がかかっていて、サハリンなど見えやしねえ。
さすがにこの時間だと、観光客もいませんでしたよ。
さようならノシャップ岬。
さすがに緯度が高いと、日の入りの時間が遅いねえ。
そういやサロベツに住んでいたころは、夏至の辺りになると8時ちょっと過ぎても空がほんのり明るかったもんなあ。
昼の時間が長いのはいいことだ。
その分、冬になると夜の時間が長くなり、鬱々した時間を過ごすことになるのだが。
そのままホテルに帰るのもあれなので、ちょっと寄り道して「防波堤ドーム」に寄ります。
テント張った自転車旅行者がちらほらいましたわね。
自由な自転車キャンプツーリングもいいかなあと思うのだが、私は致命的にアウトドア適正がないからなあ。
テントを張って畳むだけで「もういいや」ってなって、自転車どころではなくなるだろう。
(そもそもテントが張れない)
コーヒー苦手なもので、野営してお湯沸かしてコーヒーってのにも、全く憧れないのですよ。
どことなく古代ギリシャっぽい感じがする防波堤内部。
謎の車輪。
フェリーのある街っていいですよね。
私は利尻は行ったことが礼文は行ったことがないので、生きているうちに一回は行ってみたいものだ。
走るのに適した一周500mぐらいの道があったので、テケテケ走ってみたが、二周ぐらいで飽きた。
うむ、旅ランはもういいか。
さようなら、防波堤ドーム。
朝のさわやかな13kmジョグであった。
ホテルに戻り、バイキングの朝飯を食べて、二度寝します。
この「人をダメにするクッション」が死ぬほど快適だった。
これ家にもひとつ欲しいなあ。
雨はすっかり本降りになり、外に出る気もしないので、何をするわけでもなく、チェックアウトの11:00まで、ホテルでダラダラ過ごしておりました。
で、駅でも列車の発車時間である13:00ごろまで、ウダウダ過ごしておりました。
稚内はサロベツに住んでいたころ毎週のように行ってたもんで、観光などする気ゼロ。
「ぐんぐんグルト」を作っているカルピス社から訴えられるんじゃないかと思わせる、セイコーマートのオリジナル乳酸菌飲料。
特急列車に乗って、まずは旭川まで行きます。
輪行に適した最後尾の席をゲット。
4時間ぐらい列車に揺られ、旭川到着。
こっから網走への特急に乗り換えます。
今や札幌から網走への直通列車はがっつり減って、旭川で乗り換えパターンが多いのですね。
この特急「大雪」も旭川発の列車です。
自転車を後部座席の後ろに置こうとしたところ、車掌さんがやってきて
「この列車は遠軽で進行方向変わるから、そんなことしても無駄だ」みたいなこと言われ、自転車をグリーン車の荷物置き場に置かせてくれました。
ありがとう車掌さん。
ありがたかったが、指定席の人間よりもグリーン車の自転車の方が待遇がいいことに、ちょっと自転車に対してジェラシーを感じた。
稚内から8時間ひたすら列車に揺られるのも苦痛ですわね。
最後の方が腰が痛くなってきて、ある意味自転車乗ってるときより辛かったかもしれん。
とは言え、稚内から網走まで公共交通機関で行くには、これしか選択肢がないからしょーがないね。
料金的には新千歳からLCCで東京行くよりも高くついたわけであるが。
北海道内の移動って、地味に高くつくよね。
21:00ごろ、無事に網走に到着しました。
あとは、駅から1kmちょっと離れた道の駅に行って、車に自転車積んで釧路までドライブしておしまい。
ただ移動するだけで、観光も何もしなかったわけであるが、どういうわけか満足感マックスの週末でありました。
長距離自転車走ったからと言って、誰にも認められない「じこまん」的行為である「俺チャレ」。
大事なのは目的地ではない。
大事なのはそこに行くまでの過程であり、そのときそのとき「今、ここで感じたこと」の積み重ねなのである。
他人に決められたルートで、観光バスに乗って観光地をめぐる旅行も、効率的に見所を回れて、それはそれでいいのであるが、それで残るのは目的地という「点」の部分だけである。
それに対し、単独自転車旅というものは、出発地から目的地までの「線」、すなわち最初から最後までをフルに愉しめるものなのではないだろうか?
できればあまり下調べをしない方が、より「線」を感じることができるというのが、今回の歌登~音威子府で思ったこと。
はっきり言って、二度と通りたいとは思わない道であるが、この「今まで走ったことのない道」に「過去」でも「未来」でもない「今」をキョーレツに感じることができ、生き生きとした思い出となるのである。
五感を働かせながら、「今、ここで感じたこと」を積み重ねて行った結果、気がつけば遠いところまで行っていた。
この喜びを知る限り、自由な自転車旅はやめられないのである。
と、最後ぐらいしっかりまとめなきゃなあと、意味不明の語りを入れてしまいました。
ごきげんよう。
(このシリーズ終わり)